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批評や分析ではなく個人の感想だよ

探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.5、6感想

1作目感想
2、3作目感想
4作目感想 

 …1〜4作目までセール&ゴールドポイント使い無料で手に入れたわけですが、今回から普通に購入。すっかりハマっとる。いつも通り以下ネタバレ感想です。
 
■Vol.5「昏い匣の上
 ホラーミステリーを支柱に、血まみれの匣を題材にした遺体発見時の視覚への訴えが面白く、BGMやポップアップ表示のタイミングも巧くて、演出面での進歩がすごいなー。導入には引き込まれました。
 一方、推理ものとしては捻りがなさすぎていまひとつ。導入がうまかった分、終盤の尻すぼみ感は否めませんでした。
 犯人が露骨すぎるのに、全然気づかない弥勒院に苛立ちがあったのですが、"主人公とプレイヤーの気づきのタイミングのすり合わせ"が、ミステリーゲームの難しいところだなとあらためて。
 生王と伊綱さんがほぼ出番なしなのは残念でしたが、語り手の弥勒院と助手の彩子ちゃんの掛け合いは、なかなか可愛くて良かった。
 …美少女女子高生の助手にお世話を焼いてもらう弥勒院は、何なんだ。顔面が斎藤工に激似とかじゃないと、許せないんですけど。
 新キャラの顔見せや演出面での新しい試みと、シリーズとしてどこまでやれるかを探るような、実験的な一作。

■ Vol.6「対交錯事件
 面白かった!
 「白鷺に紅の羽」が傑作だったので、シリーズの壁になりそうだなあと思ってたのですが、超えた。
 生王視点の謎の美人秘書失踪事件と、伊綱さん視点の連続殺人事件という、独立した事件を読み進めると、つながりがぽつぽつと湧き、終盤一気に収束していく様は圧巻。
 序章の尾行対象者が殺されて依頼者が容疑者になるところとか、失踪した浜川の自宅に訪れたら連続殺人の被害者の名前が出てきた時とか、テンション上がりました。どの情報をどのタイミングで提示していくかが、滅茶苦茶良くできてます。
 生王と伊綱さん間で時間のずれがあることには、ザッピングシステム用いた作品では割とよくあるのですぐに気づいたものの、(とはいえ序盤の紅茶おつかい電話の仕込みは、今作の白眉)浜川優美子周りはまんまとミスリードに引っ掛かり、生王と同じタイミングで「え」になりました。それでいて考えればわかるような情報はきちんと提示されてましたし。今回は伊綱さん凄すぎ。
 前作の課題であった、"主人公とプレイヤーの気づきのタイミングのすり合わせ"は、今作が完璧に応えてくれました。
 癸生川も出番は少なかったものの、さらに先の真相を掴み、久美浜から伊綱さんを守ろうとしてるラストシーンは格好良かったです。キャラクターが物語と密接すぎるゆえ、ズルい立ち位置のキャラなので、個人的にはこれくらいが丁度いい。


 ハイテンションおじさん癸生川が久美浜と話すときだけ、スン…になるの好きだな。
 三作目でも少し触れた、久美浜の執着の理由「四年前の事件」、1999年夏新興団体『永劫会』大量虐殺事件、に今作でも突っ込んできましたが、ここまで押し出してくるには後の回収が期待できそう。
 ………あと、トークラ社員に美人で優秀だと評判だった浜川さんこと伊綱さん。優秀なのはともかく、美人設定は正直、久美浜にミスリードさせるためとはいえ、かなり無理矢理感ある…ような…
 いや、伊綱さんのグラフィックは見慣れたのもあって好きですけど、久美浜とか彩子ちゃんとか正統派の美形キャラを見ていると、その、顔、丸…(これ以上のコメントは差し控えさせていただきます)