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批評や分析ではなく個人の感想だよ

『バテン・カイトスⅡ』プレイ日記9(終了)

ネロ様戦〜EDまで。


■あらためてタラゼド最深部へ。ダンジョン抜けるとネロ様がうにょんうにょんと動くマキナ(マキナンギスと言うらしい)を調整していた。
「見ろ。便利なものをつくったものだ。人なんぞよりよっぽど扱いやすい。」
ネロ様、人心掌握のために色々手を尽くしてきた(嘘ついてきた)人でしょうからね……。
■「もう考えるのはお仕舞いだ。理屈じゃない。こころの中の何かが、お前を消し去れって言ってる!」


こわ。こころの中の何かは邪神の中の闇の眷属部分の表出かと思いますが、それ抜きにしてもサギさん、やはりかなり意識的に振り切れた人として描写されてる感。
■で、ネロ様戦ですが、脇を固めるマキナを同時に倒さねばネロ様のガードが開かず、ギロの全体攻撃で殲滅する必要が生じ、今作後半のバトルにおいてギロを完全にタンク運用していたので、デッキ大幅に修正の必要が。ネロ様本体は正直雑魚。
■追い詰められたネロ様はモニターをぽちぽち操作しマキナを修復。復活したマキナはネロ様に牙をむけ、呆気ない最後。しかしまだ終わりではなく…
「匂う……。人のこころの匂い……。いる……。こころのちからを溢れさす者……。」
ネロ様の遺体は立ち上がり、そこに憑依するのは、ワイズマン!
「心地よい……。恨みのこころ……。くくく……。千年彷徨い続けたのも無駄ではなかった……。」
千年前サギたちに敗北後、そんなに長く実体持ててなかったのか。今回実体を持てたのも、逸材であるネロ様のこころを喰らったからこそっぽいですし、結構はかない存在なのかもしれない。
■ワイズマンはネロ様を取り込み…その名も「ネロ=ワイズマン」
「くくく……。貴様たちのこころも歪んでいるぞ……。神ともつかぬ半端なこころを共有する愚かな少年よ……。殺戮兵器にこころを残した哀れなツガイよ……。マキナに依存する人ともつかぬ悲しき少女よ……。
前作のパーティメンバーって、コミュニティ内で疎外感を感じているはぐれものたちだったのですが、今作のパーティメンバーは、うまれやからだが他の人たちと異なるが故に、自分自身に対して不安を抱えている人たちだったのですね。だからこそ、旅路を通して生まれた自分自身の意志や、他者に対して育まれた想いをもって、こころを定義し、自分を獲得するお話になっている。
■で、ネロワイズマン戦、ネロ様用に全体攻撃用にデッキを調整していたのでめちゃくちゃ戦いにくく、お願いです………デッキを、デッキを直させて……
■なんとネロワイズマンも一度は負けイベント。負けイベント多すぎる今作の短所はここにも。
■かわいい。倒れ込む三人。立たなきゃ…と呟くサギに肩を貸すのは…


ティスタに特段思い入れはないのですが、CV檜山修之の兄貴度が高すぎて、声でかなり得をしている。。
■ティスタに続き、ピエーデがネロワイズマンの動きをとめ、ペッツがサギの刀を両手でしっかりと握らせる。そしてポルコがギロミリの安否を確認。サギと俺邪神に語りかける兄弟達。
「マーノ、いや○○。そしてサギ。俺たちはずっと見ていた。お前のしてきたことは間違っちゃいない。」
「そうだ。自信をもってやれ。その自信があれば、あいつに呑まれることもない。」
「そう、そして不安になったら、一番大事な人を思い出すの。」
「自分をしっかり持って!……おいらにゃまだよくわからないけど、○○とサギなら、きっとできるよ。」
もうなんでもありというか…兄弟がなんで出てこれたのか全然わかりませんが、ネロ様戦が行われたタラゼド最深部、バッグに遺児が封印されているのが見えるので、そこから干渉してるんだと思う。多分。
■あと、マーノではなく、サギと俺邪神の道程を兄弟たちが知っているのは、各大陸の遺児対応の際、サギに立ち向かってきた人や動物、植物に遺児として憑依した兄弟たちが、立ち向かうサギ一行をちゃんと認識していたからだと個人的には思っています。俺邪神がサギに憑依しているように。多分。知らんけど。
■サギと俺邪神に別れを告げ、去っていく兄弟たち。
「誰かと話していたみたいだけど?」
「うん、昔の……仲間とね。」
兄弟のエールを受けたサギは再度ネロワイズマンを討伐。闘技場で鍛えまくって私が悪いんだけど、あんまり手応えありませんでした。振り返って考えると今作1番の鬼門はギロ戦。
■ネロワイズマンが消滅し、残ったのは、ネロ様の杖のみ。ここまできてもワイズマンが何者なのか全然わかんないし、スッキリしないな…
■ワイズマンがこころの力がなければ実体すら保てない存在だということは伺えるので、彼の糧である人間のこころを喰らうため、1000年前は支配者として社会に適応し、人のこころの力を高めることで自分の食糧を増やすまわりくどい手法とっていたんじゃないかなー。で、サギたちに敗北して実体失い、千年間困っていたところ、負のこころパワーがありすぎる栄養素の逸材ネロ様を弱った状態で見つけたラッキーに遭遇し、そのまま体乗っとったんだと思う…これは全て勝手な妄想の類ですが。
■前作ラスボスであるマルペルシュロについて、今作壮大な裏話が明かされたとはいえ、前作時点でちゃんとラスボスとして完結させているので、今作のラスボスであるワイズマンの真意については妄想で補わなければならないのは、どうかと思う部分でした。
■「もう呑まれると思った時、サギの顔がこころに浮かんだの、だからわたし……、頑張れた。それと、ポンコツ人形のことも思い出してあげたわ。こころの端っこ〜のほうにね。」
「ほう、ぬしもか。奇遇だな。わしもそうだぞ。鬼のような形相のぬしが出てきおってな。こりゃ、まだ終われぬと思ったぞ。」
ここにきてもなおイチャつくギロミリ。
■ミリィからサギは誰を思い浮かべたのか聞かれるが…


私に選ばせるんじゃないよ!!!!サギが決めろよ!!!いやこの話の流れだと、ギロとミリィ両方を思い浮かべるのが妥当じゃない!?なんでWヒロイン一緒に選択できないんだ……ギロとミリィに優劣つけるの嫌だし、俺邪神とローロは選んでほしくないので、母さんにしました。
■戦いの衝撃でタラゼドは崩壊をはじめ、スフィーダまで慌てて走るサギ一行。タラゼドの終焉を見届ける、各国代表たち。なんかしれっと、ギバリが「レイちゃん」呼びに戻っている。
「今度のことでは、私たちは何もできなかった。すべて、あの少年たちに背負わせてしまったのですから……」
懺悔するコレルリ様。もともと帝国内の内ゲバだったとはいえ、ホントだね!ここの無力感が根本にあって、前作マルペルシュロ討伐において、各国代表が協力する流れにつながっていくのでしょう。…今作時点で各国代表顔合わせ済みなので、前作のレイドカーン王・ギバリ・ロドルフォはコレルリ様見て「なんか全然年取らないな、この人…」と内心思っているはず。
■タラゼド最深部を抜ける途中の通路で謎の触手に囚われるサギ。触手はひとのこころを奪うしかけがあるらしく、バアルハイト様がこころのつばさ放棄を掲げていたため、装置の存在自体にギリ納得はできるんですけど、なんか展開が急に超雑だ。
■このままではサギがこころを失ってしまう雑ピンチを前に、仕掛けの制御装置であるタラゼドの心臓機関を発見し、ミリィはサイボーグ設定を活かして装置を操作。見守るギロに対し、手を動かしながら作ったような明るい声で語りかけるミリィ。
「あなたとは喧嘩ばっかりだったわね。出会った時からずっと。」「ふふ、わたし、嫉妬してたのよ。サギの側にはいつもあなたがいたから。」
「……ぬしだって、ずっと側にいたろう。」
「いたけど!でも、わたしはサギを監視する側、あなたはいつもサギを守ってた。側にいたけど、でも、まるで反対だったのよ。何も考えずにサギを守れるあなたにわたし、嫉妬してたんだわ。」
■「どうやら、この機関をロックするには、マキナが足りないみたいなの。わたしなら、そのマキナのかわりになれる。……この身体のこと、今ならよかったって思えるわ。これで…わたしもサギを守れる側になれる。
黙り込むギロ。
「こんなときはほら、細いぬでもそんなところには入りたがらないぞ!とかでしょ?ふふふ。じゃあね、ギロ。わたし、あなたのそのぶっきらぼうなとこ大好きだった。今まで意地悪言ってごめん。」
ポンコツ人形』はミリィが告白した”ギロが純粋にサギを守れる存在“である嫉妬に加えて、ミリィがマキナ人間であるコンプレックスに由来する、マキナに近い外見をしたギロに対する”わたしとあなたは違う“虚栄心が裏にあるものだと思っています。ギロが100倍にして言い返すタイプのキャラクターなので、ミリィの意地悪は道中そこまで嫌な感じはしなかったものの、最後の最後ちゃんと謝罪が入ったのはいい目配せでした。
■「さよならサギ。」
覚悟を決めたミリィ………を押し除け、装置に飛び込むギロ!
「心臓にはわしがなる。マキナの代わりならわしにもできるだろう?」
ギロでもミリィでもマキナと必ず同調できるとは限らないし、同調に成功してもタラゼドの部品となった時点で死ぬしかないそう。
「ならば、それはわしの役目だ。ぬしではない。」
「どうしてよ!?」
「サギにはわしよりぬしが必要だ。そしてぬしにもサギが必要だ。それだけのことだ。そんな顔をするな。おあずけを食ったうりぞうでも今のぬしよりはマシな顔だぞ。」
直前のミリィから「細いぬでも〜」のやりとりを受けて、いつもの調子で返事をするギロが、大変格好良くきまりました。
「ぬしとの戯れ合いもこれで仕舞いだ。」
「待って!ギロ!」
「ぬしのこと、わしも嫌いじゃなかったぞ。さらばだ、ミリィアルデ。サギのこと、頼む。」
制御装置の扉が閉まり、扉にへばりつきながら絶叫するミリィ。
■ピンチそのものが雑、なのは残念でしたが、ラスト迎えるにあたりある程度予測されていたギロ(人外)との別れにおいて、今作ギロが最も丁寧に関係を積み重ねてきたミリィとの関わりがクローズアップされたのは、好み。
■マキナ人間という背景から「人間らしさ」を求め、恋人虚言を吐いたり、人間ではないギロをやたら煽ったりと、身勝手な側面もあったミリィですが、そんな彼女が旅路を経て大切な人を想うこころを育んでいく。そして、自分がマキナ人間であることを受け入れ、その身を活かし、自分がいない世界で大切な人が幸せになることを望む。
■そんなミリィの姿を受けたギロは、物語開始当初よりブレなかった「わしはサギについていく」、よりも、「サギにはわしよりぬしが必要だ」を選ぶ。なぜなら、「ぬしにもサギが必要だ」からーー。
■今作、サギとミリィを通して、「したいと思い込んでいたこと」から、「本当にしたいこと」を見つける物語が書かれていると思っていて、
サギ:母さんに楽させたい→大陸破壊気持ち悪いから防ぎたい
ミリィ:父さまの命でサギ監視したい→サギとギロとずっと一緒にいたい
という変化が盛り込まれたわけですが、物語開始から自分のしたいこと(サギのそばにいる)について最も完成していたキャラクターであるギロにも、この最後の最後に変化が起こる。
ギロはサギだけじゃなくて、ミリィも好きになってしまったんですよね。だから、ミリィにも幸せになってほしくて、自分がサギのそばにいることよりも、ミリィに側にいて欲しいと願う。ギロ×ミリィを貫くのは、サギのそばにいる役割の「継承」だったわけですが、今作がwヒロイン構造なのをフルに活かした、素晴らしい着地でありました。
■惜しむらくは、ギロがサギにここまで献身する理由にも触れて欲しかったなあ。まあ、異形の体で記憶もなくて混乱状態の自分を、土の中から掘り起こしてくれて、家族として受け入れてくれた子供を、めちゃくちゃ大事に思う心情は理解できるのですけれど。
■ギロの死を前に泣きじゃくるミリィ(ここの一連の小林ゆうさんの声の演技が素晴らしかったです)の背中を後からやってきたサギが支え、ミリィはサギにしがみつく。サギが雑装置に捕まっていた時もちゃんと意識はあり、スーパーギロミリタイムは全部見ていたそう。
■「もう、泣かないでミリィ。僕にはわかる。ギロはきっと生きてる。あいつのしぶとさはミリィだってよく知ってるだろ?」
しぶといかなあ?パーティ屈指の紙耐久だけどなあ?なんかストーリー上ではちょくちょくギロのうたれ強さが語られますが、バトル性能的にはむしろ逆なので、変な笑いが出ます。
■サギはミリィを励まし立ち上がらせ、制御装置でなにやらガサゴソした後に脱出再開。脱出途中でヒューズとナスカが現れ「ここは俺が食い止めるから先に行け!」ムーヴをし、これは各地の戦いで見逃す選択肢したからかな。
■港まで出るがスフィーダはなく、この高さではこころの翼でも飛ぶことは出来ずにおろおろしていたところ、爆発の振動で崖から落ちてしまうミリィ。ミリィを追いかけ、しっかりと抱きしめたサギは一緒に落下していくが、スフィーダが二人を受け止める。というか、どう見てもスフィーダのボディに激突してますが、俺邪神との絆パワーがあれば問題ない。
■サギ救出のためスフィーダを動かすよう指示したのはヴァララさんらしく、スフィーダ乗員はサギ達を見捨てるつもりだったのでは疑惑が浮上します。ホロ・ホロジャングルで乗員を単身放置する鬼畜の所業を犯していること、多分根に持たれている。
■勘違いすんじゃないよ!お前ら助けたのも仕事だよ!とちょっとツンデレムーヴを見せるヴァララさんに微笑んで感謝を伝えるサギだが、その直後、ヴァララさんからミリィに向き直し、
「帰ろう、ミリィ。みんな待ってるよ。」
とやたら甘い声で自分の女に囁くサギさんからネロ様の血脈を感じて、私は恐ろしい。
■ミリィは「はい!」と可愛げを見せつつ暗転。場面変わり夜明け前、ミンタカの港。スフィーダに向かって歩くサギとミリィだが、何か思うところありげに立ちどまるミリィ。
「本当にいいの?わたしなんかを連れてって。」
「何を言ってるのさ。ミリィだから一緒に行きたいんだ。」
なんか俺邪神の知らん間に、凄い進展していた。
「でも……、おばさまはどうするの?」
「母さんには落ち着いたら会いにいくさ。心配いらないよ。」
「でもでも……、わたしの体は……。」
「そんなの、関係ないだろう?僕はミリィのこころを知ってる。それで十分さ。」
おお、サギ、偉い。
「それにローロが言ってたよ。うまくすれば、天の樹の落ち枝を使って、ほとんど人と変わらない体を作れるって。ミラについたら連絡してくれって言ってたよ。」
前言撤回。そんなセンシティブな話を許可なく他の人にするんじゃない。…しかし、ここちょっと明確にミリィの体に触れたいサギの欲が感じられて、ドキドキします。
■人体の代わりにもなる落ち枝なんでもありすぎでは?と思いましたが、スフィーダの部品となるくらいだし、既存の物質に適応し変容するような摩訶不思議物質なのかもしれません。また、コレルリ様が大樹パワーで脱皮アンチエイジングしていることもあるので、人体の一部つくるくらいは不可能じゃないかもとは思えて、あの描写って単なるホラー要素ではなく伏線だったんだなあと戦慄します。
■デリカシーのないサギに怒るミリィ(当然)であったが、そこにパロロ二世、レイドカーン王、ギバリ、コレルリ、ロドルフォ、ローロがお見送りに。
「結婚式だというから来てみたが、なんだ、かけ落ちじゃないか。どういうことだ、サギ君。」
とロドルフォ。サギがローロにミリィの体の件相談と合わせて移住のことをもらす→パロロに聞かれて隠せないローロ→パロロ通じて各国代表にバレる。という流れっぽい。
■結婚式はローロの思い違いとかパロロが盛ったんだと思いますが、駆け落ちは状況的にほぼ事実なので、ギロと別れてからのサギ×ミリィプレイヤーの見てないところでまあ〜〜いろいろ……あったんでしょうね………。ミリィはまだちょっと日和ってるので、多分サギがグイグイ行っている。サギさん。
■それと、サギがミリィのこと明確にそういう対象として見ていたことに結構びっくり。異性としての意識はなくはないだろうけど、友達としての認識の方が大きいかと思っていたのですが。こりゃあどうもネッカル編のサギの告白、本気でプロポーズのつもりだった可能性が高い気がしてきたぞ。こんなに直球にサギ×ミリィがねじ込まれるのだったら、ネロワイズマン撃破後に誰を思い浮かべるかのギャルゲー選択肢やっぱりいらなかったのではないか。
■人目につかないところでゆっくり生活したい点から、サギとミリィはミラに移住予定。コレルリ様はカルブレン公に口添えし、受け入れ体制も整えてくれるよう。急に前作ワードが出てきましたが、確かに邪神憑き・マキナ人間が馴染むにはうってつけの場所だよなあ。ゲオルグ&ラリクシもそれでミラに逃げたんでしたし。他の大陸で犯罪してミラに隠れ住んでいる人とかたくさんいそう。治安が心配なミラを統治しているカルブレンの「赤き河」の異名が恐ろしくなってまいりました。
■○○とは一緒に行くのか?とパロロから突っ込まれ、「いつまでも一緒だよ」「いつかは別れる」という選択肢が出てくるのですが、いや、俺邪神邪魔すぎるでしょ………サギとミリィ2人っきりにしてあげなよ………ということでいつかは別れるを選んだのですが。


なんか微妙な反応…前作カラスとの別れが凄まじい精霊用済み感でしたが、あれくらいあっけらかんと別離まで描いてくれた方が個人的には好みです。まあ、精霊とカラスはあくまで、カラスの旅路に同調した精霊のポジションが最後まで崩れないのに対し、邪神とサギは中盤の対話通して一心同体になった事情は大きいのですが。
■お別れに際し、ナシラの魚送るよとすっかり漁師に馴染んだギバリ。つむじ風に乗って会いに行くと自由なパロロ。ローロはミリィにお手紙を求め、そこ、いつの間にそんなに距離近づいてたの?
■「みんな、元気で!」
「みんな、ありがとう!」
サギとミリィは皆に笑顔をむけ、手を振る人々。空の彼方に去っていくスフィーダ。ネロ様死んだのでスフィーダも完全に個人的に利用しちゃってますが、乗員よく運転してくれるなあ。
■そしてスタッフロール。スフィーダを見送る二人の背中はリュバンナとアルマードでしょうか?いい雰囲気醸し出してるけど、不倫だから、心象は最悪です。以前も言いましたが、まさか前作聖女ポジションだったアルマードにこういう描写がされるとは思わず。リュードが非摘出子だったのは今作の後付けではなく前作から続く裏設定だったと踏んでいるので、アルマードの黒い部分は前作のメインテーマであったアンビバレントの延長として、意図的なものともいえますが。
■リーダーとして立つ土の民の前に立つ大カムロ様。結局、長になれなかったクラムリ様はノータッチ…クラムリ様、真面目で慌てん坊で融通効かなさそうなところが可愛く、結構好きなキャラクターでした。その迂闊さでアルゴラブ村燃えるわけですけど。
■部下を前にふんぞりかえるロドルフォ。今作にて勇の部分も開示されつつ、あくまでふんぞりかえる方に一枚絵を持ってくるのがらしい。
■墓前に立ち空を見上げるレイドカーン王。漁をしながらレイドカーンと同じ空を見ているギバリ。前作の節度を持って接し合う二人を思うと未だに胸をかき乱されますが、だから、高齢レイドカーンの死の間際、見舞いにきたギバリとの会話で「ギィ」「レイちゃん」と呼び合うやつをですね(まだ言ってる)
■フェルガド井戸の周りにいる子供達に技を教えるパロロは、ここから三世に繋がっていくのか。この人何者か結局全くわからず、ワイズマンよりも謎。まあ、強くて格好良いから良いか。格好良いは正義。
■ジャコモは訓練中………忘れてた!(笑)フェルガドでの敗北から音沙汰なかったけど、打倒サギのために頑張っているよう。で、鍛えて、父親に頼んでエンドマグナスの力を手に入れるも、宿敵サギを探したらどこにもいなくて途方に暮れるというわけです!BGMがなんかオシャレ・サギのライバルにすらなれない・やたら筆まめと、ネタ要素に振りつつ、異能の力に自ら身を落としていくきっかけを押さえてくれたことはよかったです。また、ああいう不遜な態度しつつも図鑑で「仲間に慕われている」という記載があるのは、ジャコモの職務への真面目さを感じる(出会った当初も帝国裏切ったサギを「暗黒部隊の面汚し」と言っている)と同時に、前作のエイメ&フォロンがジャコモに向けていた信頼にもつながり、納得かつ嬉しい描写でした。
■サヴィナは帝国兵に拾われ戦士の道に。これから彼女が背負う20年を思うと辛いですが、そんな彼女だからこそ、カラスたちとの旅路を通して人間らしさを手に入れ、メイフィーとラブラブお料理エンドに着地してホントよかった。メイフィーや彼女のおばあちゃんにごはんをつくる中で、養父がくれたあたたかさの意味を真に理解するサヴィナを妄想してしまいます。
■ローロは実験に失敗し黒焦げ。呆れ顔で見つめるコレルリ様。これから好きな男に抱かれる女の体をつくることになるはずのローロの立場が残酷で、ローロ基本凄く良い子なのに、扱いがひどい……しかしバテン世界の科学者枠、ゲオルグもバアルハイト様もマッド要素あるので、落ち枝使って人体作れることの方に喜びを感じていると思いたいです。(それもどうなんだ)
スフィーダを見上げる三人はヴァララ・ヒューズ・ナスカ。ヒューズとナスカ安否不明でしたが、無事脱出できたよう。三人とも、基本職務に忠実で家族思いの頑張り屋さんだと思いますが、サギとの因縁要素がほとんどシャナトに吸収された都合で、道中の描写不足に勿体無さは感じます。この辺、ギロとミリィにも因縁を分散させるとかあっても良かったかも。
■サギとミリィはシェラタンに戻りジーナに報告。ジーナは美しい羽を取り戻し、完全復活した様子。母の安否を確認したのち、若い夫婦はミラへ向かい、カルブレン公にご挨拶。
■タラゼドの制御室は破壊されており、ギロの遺体は消滅。次回作フラグだったりする?
■スタッフロール終了、画面変わり、…………何やら、見たことのある部屋?と思った瞬間、スタッフロール中のカルブレンにご挨拶する若夫婦のイラスト、そして、カルブレンの孫娘の髪色が、脳内でカチッカチッとハマり、あーーーーーーー!!となりました。これは後述。
■机に向かっているミリィが書いているのは、ローロへの手紙でしょうか。微笑むミリィの口元が大写しになると、部屋の扉が開き、サギの姿が。サギに呼ばれたのか、ミリィは立ち上がり、彼女の座っていた机の棚にカメラがズーム。収納されていたのはギロの頭部で、目がきらーんと光り…暗転。
■色々言いたいことはあるんですけど、サギが制御室でがさごそしてたのって、ギロの頭部持って帰っていたのかよ!友人の遺体の一部を持って帰りたい気持ちはまだわかりますが、よりによって頭部なのが怖いよ!School Daysの最終回かよ!最後の最後までサギさんはサギさんでした。
■凄いどうでもいいけど、ミリィはギロの頭部ある室内でイチャイチャしづらさを感じていると思う。多分サギは全く気にしていない。
■また画面かわり帝都、元老院の四人は猫背でとぼとぼ歩くゲルドブレイムを発見。バアルハイト様とネロ様が消え、帝国の運営立ち行かなくなっていたよう。
「もはや、この帝国を治められるのはあなたしかおりませぬ!どうか、アルファルドの皇帝として、我々の皇帝としてお立ちください!」
「わたし……が……プリキュア皇帝に?」
「わたし……が……皇帝に?ふふふ……、ははは!わたしが皇帝!?」
焦がれる人に齎したかった立場が、焦がれる人にその献身を否定されたのちに、自分に降ってくるという皮肉で、狂ってしまう、ゲルドブレイム。
■「アルファルドはこのゲルドブレイムが治める!世界には、まだ5つのかけらがあるはずだ。さがせ!残りの5つを!エンド・マグナスを!!なんとしてもだ!待て。待て。その前に……。ゲオルグを呼べい!」


顔グラの変化で、前作へのゲルドブレイムへのつながりを感じさせ、


片羽の胎児はあの人でしょう。バテン・カイトスへつづく…で、エンド。


■プレイアブルからギロがぬけ、サムネ画像に。サギとミリィはこれから一緒に生きてゆく。そんな二人をギロは一番近くでちゃんと見守ってくれているんだーーというのがこのセーブ画面だけでうかがえて、サギとギロとミリィ三人の旅路の終着点はここしかありえない。バテンⅡが三人の物語であることがここまで貫かれ、良いエンドでした。

 これにてクリアですが、クリアした私が一番最初にしたことは、これです。


 聖地巡礼
 サギとミリィが生活していた室内の間取り、カルブレンに喜んで受け入れられているサギとミリィ、ミローディア様の髪の色、から判断して、サギとミリィがミローディア様の両親と見て間違いないでしょう。特に髪色は決定的で、というかむしろ、なぜ今まで気づかなかったし、私。カンの鋭い人はサギのビジュアル初めて見た時点で気づきそう。
 カルブレン公から「息子夫婦」という発言もあったので、サギが養子に入ったのかな?邪神憑きと帝国元権力者の娘って外交の観点からもおいしいでしょうし、サギ(基本は好青年)とミリィ(育ちが良い)が年配の貴族から気に入られるのは納得ではある。カルブレンは配偶者とか後継いなかったのかな。
 本編感想から大体おわかりかと思いますが、正直、道中はサギ×ミリィよりも、サギへの情を中心にしたギロ×ミリィの友情の方が描写も丁寧で好きでした。
 しかし、サギとミリィが一緒になるのは、二人を愛したギロが望んだからという理屈が成立することで、サギ×ギロも、ギロ×ミリィも、全部ひっくるめてサギ×ミリィに内包され、サギミリへの思い入れがグンと増しました。…………そのタイミングで…………サギとミリィが5年後にこども産んで11年後に死亡する情報が一気にぶつけられて………もう………めちゃくちゃ興奮してしまって…………こんな10代半ばで爽やかで可愛い二人が、ああなるんだ………。
 流行り病で病死は呆気ないですが、死んでるからといって意味がないなんてことは絶対なく。ミローディア様の存在を通して、サギとミリィの生きた証を感じられることが、何よりも尊いことだなと思います。ミリィ子ども作れるくらいの体になったんだなあ。よかったねえ。ローロと落ち枝凄すぎ。
 んで、サギミリはガルブレンの実子ではないため、当然ミローディア様もミラ大公家の血族ではないことに。その上、祖父とミローディア様をつなぐ存在であるサギミリも死亡しているわけですが、こういった事情踏まえると、前作ミローディア様があれほど家名を継ぐ気負いを見せたのも理解できます。
 また、ミローディア様が病弱だったのも、邪神実験の被験体と体の半分落ち枝で出来た両親の間に生まれた都合はありそうで、誰が悪、ということはありませんが、ミローディア様がああなってしまった要因を考えると、つくづく、非常にきついものがあります。
 なんかミローディア様の見方がⅡ経て大幅に変わったというか。前作はミローディア様のこと、中盤〜終盤あたりまでは耽美セクシーキャラだと思っていたのですが、過去の自分をブン殴りたいです。今そんな感情一ミリもない。責任感の強さから異形に足元を掬われてしまった小さい子どもだと思っている。サギとミリィに代わってミローディア様をこの世のありとあらゆる悪から守りてえ。(きしょ精霊)
 そんなプレイヤー感情を補うように、前作エンディングにてカルブレン公とカラス達が、これからも傷を背負って生きていく彼女を支えていくと語るのが嬉しい。Ⅱをプレイすることによって、Ⅰのエンディングがより一層心に深く刻まれるものとなりました。
 バテンⅠのヒロインはシェラ、Ⅱのヒロインはギロとミリィだと思っているのですが、ⅠとⅡ包括したヒロインは、ミローディア様だと思います。そういう意識を持ちながら、特装版ボックスアートを見ると感慨深い。
 

btkt.bn-ent.net


 キャラクター配置とか小道具とか、巧みなミッセージ性のはさみ方。これホント欲しかった…後悔。
 それとガルブレンも。中年男一人暮らしだったところ若い男女が家族になってくれて、孫も出来たのに、流行病で家族全員亡くなって一番年老いた自分だけ残って、エンド・マグナスによる蘇生に手を染めてしまった気持ちも、サギとミリィの人格に触れてしまった現在になって痛いほど理解できます。
 
 ミローディア様やカルブレン公だけではなく、前作のキャラクターの奥行きの見せ方の巧さというのは、今作を通してのストロングポイントでありました。
 矜持を持って俗物やってるロドルフォ、国を背負う意識を持って勉学に励むスキードとヴァレイ等、前作悪役要素強かったキャラクターのポジティブな面にスポットライトが当たり、一方でその逆、国の自然遺産を若づくりのために利用しているコレルリ様、略奪愛でリュバンナ一家を破壊しているアルマードといった、前作徳が高めに描写されてきたキャラクターのネガティブな面も平等に描かれたのは面白かったです。
 これってまさに、前作のテーマである
 「……みんな、平気で矛盾したものを抱えて生きてる。」
 が背骨にあるからこそだと思います。
 前作このテーマを描写する上で、「正義と悪を分断しない」「敵対するものにも理由がある」という価値観を置き、その上で“祈り”が生きとし生ける全てのものにもたらされることが救いの落とし所になっていると思っています。
 私はそこが非常に好きだったのですが、唯一その祈りから漏れて、弔われなかった存在がゲルドブレイムで、前作ラストバトルは不満の残るものでした。しかし、今作にてゲルドブレイムが道を踏み外す決定的な瞬間が真正面から書かれることで、作り手も彼を悪として分断する意図はなかったんだろうなということを感じ、成仏できました。
 今作の裏ストーリーって、ゲルドブレイムが愛ゆえに狂ってしまう「皇帝ゲルドブレイム誕生秘話」だと思うのですが、むしろこの構造ありきで、人間が抱えるアンビバレントを丁寧に書いていたのかもしれない。…そういえばゲルドブレイムって、ネロ様に狂わされた上に、その孫娘のミローディア様にハメられてるのか。暗黒の血筋です。
 あと、ずっと気になっていたのですが。暗黒部隊をマキナが占拠した際の黒幕明かされずでしたが、バアルハイト様率いる部隊にあんな汚い手法で仕掛ける人はネロ様しか思いつかないので、ネロ様の仕業にしてよろしいでしょうか。調査の依頼出したのがゲルドブレイムなので、知らず知らずのうちにネロ様の野望阻止しちゃっているのが皮肉。
 
 最終盤のまとまり具合、ラスボスの扱い、ぬるぬる石像&ブロック破壊クソミニゲーム、負けイベント多すぎ、など、不満点はそこそこあるものの、前述した前作要素の拾い方の巧妙さに加え、生き生きしたキャラクターに、中盤のストーリー展開の驚き、驚異的に改善されたバトルシステムは非常に面白かったです。
 続編ってどうしても前作とどちらが面白いか比較してしまいますが、ⅡはⅠがあるからこその面白さだと思ったし、ⅡをクリアすることによりⅠの解像度が上がり、思い入れが一層深くなりました。今作単品ではアレな部分ありますが、続編という視点で捉えた時、最良のかたちで作り上げられていると思います。
 Ⅰプレイ中は、カラス達の旅路の先が知りたくて彼らにお供していたわけですが、Ⅱクリアしたあとにプレイすることで、ギバリやサヴィナとの20年ぶりの再会や、サギ達が守った世界の巡礼という視点も追加されるわけで、これは2周目が面白そうだぞ。
 テーマとキャラクターについてもうちょっと触れたいのですが、いい加減長いのであとは総括で…と言いつつⅠの総括でさえ書けてない現状よ。
 メタ要素を巧みに用い、そのゲーム体験が心に深く刻まれる、いいシリーズでした。Ⅲを出してください。
 以上、バテン・カイトスⅡ』感想でした。