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批評や分析ではなく個人の感想だよ

探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2、3感想

 癸生川シリーズ二作目三作目クリアー。面白かったので四作目も買いました。そして「癸生川」をユーザー辞書登録。
 以下ネタバレありの感想。

■Vol.2「海楼館殺人事件
 前作よりもパワーアップしていて良かった。
 特に、謎解きにプレイヤーが介入する場面が多くなっていたのは嬉しかったところ。ここがやはりゲームの面白いところだと思うので。
 海楼館の横からの見取り図や部屋割りなど、演出面の進歩に伴って考える幅が広がっていたのも、良かったです。


 中盤までのミスリード部分だった建物の仕掛けが面白く、真面目に推理してまんまとひっかかりました。そして、最終盤にその盤面全てをひっくり返していく癸生川が、相変わらずズルい。
 癸生川が物語の枠外からもたらす真相が拍子抜けなのは一作目と変わらず、真実よりもミスリード部分が面白いというのはどうかと思うものの、まあ今作はそういうスタイルの作品なので。
 ここを許せるかがこのシリーズの向き不向きを決めているきらいはあり、自分の場合、各キャラクターが魅力的なのでまあいいかという感じ。似鳥鶏「葉山くんシリーズ」の安楽椅子探偵の伊神さんとか、近い感覚。
 二作目の時点でシリーズ化が決まったのか、一作目の時点ではなかったシリーズでの伏線っぽいもの(シャングリラ遊園地の菊川、大切な人を失っている伊綱さん)がまかれているのは良い目配せ。
 辛い過去を匂わせた伊綱さんに対して、癸生川がラスト散歩に誘うのは、彼女に対する気遣いを少し感じるところ。


 かわいらしい描写。

 なんて簡潔で的確な癸生川評なんだ。

■Vol.3「死者の楽園
 癸生川がラスト持っていくスタイルは変わらないものの、突飛すぎるものではなく、それまでの伊綱さんの推理を踏まえた上での結論で、納得。
 関係者の動機がミソの事件であり、犯行そのものは結構泥臭い手法で、謎解きとしては前作の方が面白かったなと思うけれど、前作、前前作の欠点であったオチの理不尽さはあまりなくて、洗練されてきた印象。
 それにしても、殺人三件起こってて警察も介入したのに休園しない遊園地、社長の意図があったとはいえ、ストロングスタイルすぎてウケます。
 今作でも長期的な伏線っぽい「生王と癸生川の出会いのきっかけ『1999年新興団体による大量虐殺事件』」と、伊綱さんと人間の悪意にムラムラしつつ暗躍に燃える暗黒ツインテール久美浜あみが登場。
 前者は地下鉄サリン事件を思い起こさせるところですが、さてはて。


 久美浜に狙われる伊綱さんが本人の知らぬところでヒロイン力を急上昇させると共に、癸生川が伊綱さんを守る意思を見せ、珍しく格好良い。やはり彼女には見えにくいところで多少気遣いがあるような。彼女が大切な人を失っている過去に癸生川が関与してる、とかはありそう。キャラクターのパーソナルな部分の掘り下げってやはり興味を惹かれるので、早めに回収してほしい。