しば犬は可愛い
Twitterが本格的にやばいねー
投稿のみと割り切ってタイムラインや通知もうほとんど見ていないのですが、これ投稿する意味もなくなってくるのでは…
オフ活(今はお休みしてますが)にあたって現状繋がってる人と切れたくないのが一番なんですけど、どうしよう。
とりあえず最近読んだ本の核心ネタバレなし感想。
■足が早いイワシと私
「渚」をきっかけに河野別荘地作品を追っているのですが、同作者の二作目短編集。
モノローグはほぼなく、表情・しぐさ・演出でキャラクターの心情を出していく手法がどんどん洗練されていくのが見えたのが、よかったです。
作者もあとがきで言及してましたが、年月の経過によってキャラクター、特に女性と地味顔の男性にフェチが乗っかってるように感じられる。
爪の垢を煎じて飲ませるお店とか、お婆ちゃんの頬袋を食べる孫とか、慣用句シリーズ(勝手に名付けた)だと生理的に攻めたネタが結構多いのにギョッとします。絵が淡白で綺麗なので気持ち悪さはそんなにないけど。
お気に入りは、月に行く子供の頃の夢を実現させようとする男と、夢物語を見るのはやめたはずの夫婦の、幼馴染三人の物語『Fly me to the moon』
■あたしンち SUPER
令和の「あたしンち」!
スマホ・マスク社会・YouTubeと、前シリーズではなかった時代を感じさせる要素が出てはいるものの、「家族あるある」をタチバナ家やそれを取り巻く人々を通して書く本質は変わらず。
むしろ、前シリーズではあった、母の理不尽さ、コミュニケーションが取りづらい父といった、ざらつきの部分が緩和されており、今の時代読むにあたって受け入れられやすい土壌づくりが巧かったのが印象的。
前シリーズは読者各々の家庭環境で受け取り方が違ってきましたけど、灰汁も面白さだと思っていた方としては、この路線変更に思うところはある…。しかし、それなりにブランクがあった上で、これがポンと出てくるのは凄い。もちろん、丹念に試行錯誤した上でのベスト解なのでしょうが…
枕元に置いてちみちみ読んでます。続きも楽しみです。
■A X
最強の殺し屋の裏の顔は、恐妻家。
という掴みで始まる、殺し屋シリーズ三作目。前二作読んだの学生の頃なのでキャラをなんとなく覚えてるくらいなのですが、これ一冊で独立して読めるつくりで安心。
ユニークなキャラクターに丁寧な伏線回収と、いつもの伊坂幸太郎…と油断していたところ、ラストの一篇が良かったです。
衝撃という類のものではないけれど、この一篇の存在によって、いまいち掴みどころのなかった主人公の真芯にあるものが何かを理解でき、………とにかく、ラストのアレは、好きなタイプの男女カプ。
中盤にあるひっくり返しの展開が、作中の罪と罰のバランスの観点で納得できずちょっと嫌だったのですが、ラストまで読んで、あー、ちゃんと"救われ"てたんだな、というのがわかるという。
読後感がよかった一冊。
■桶川ストーカー殺人事件
■殺人犯はそこにいる
実際にあった、美人女子大生殺人事件と北関東連続幼女誘拐殺人事件の真相を、ジャーナリスト清水潔が追うノンフィクション。
これがまた、凄まじい本だった。主訴は犯人当てミステリーというよりも、報道のあり方への問いかけと、不祥事をもみ消す国への告発で、この本を通して社会を変革したい筆者の熱量と執念をビシバシ感じます。
なぜこの二つの事件に筆者が突き動かされたのかのターニングポイントを、"個人の理由"から明確に書いているのも没入しやすく、ノンフィクションドキュメンタリーとして大変優れている上で、エンタメ小説としても読ませる文章なのが素晴らしい。
フィクションで書かれる司法の闇よりも、リアルの方が闇が深くて恐ろしやー。
オススメの一冊。
村上春樹が読者から寄せられた質問に答えていくやりとりのまとめ本
回答そのものは回答として成立してなかったりして、割といい加減なんですけど、いい加減さが心地いい。「エロい」という言葉を使用する読者に「セクシャル」を使うようお願いしたり、スワローズの名称を読者に間違えられて細やかに訂正したり、しゃらくさくて笑える。
村上春樹の文体の癖って、フィクション小説だと若干鼻について苦手なんですけど、読者との対話形式なので、そこもあんま気にならなくてよかったです。
本書で経歴を知ったんですけど、
《大学在学中にジャズバー経営→仕事の合間に小説書いてデビュー→小説家専業になって配偶者と海外暮らし、ランニングと読書と音楽鑑賞が趣味》
……………こんなオシャレな生き方あるんだ。私と縁遠い人生すぎる。そりゃあエロいをセクシャルとか言います。