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批評や分析ではなく個人の感想だよ

両方とも父の話だ

 観た映画感想をば。核心部分のネタバレは避けてます。

 

ONE PIECE FILM RED

 今更観た。
 ワンピースはブルックが仲間になって以降の展開がほとんどわからず、Adoも「うっせぇわ」しかまともに聞いていないレベルでにわかなのですが、楽しめました。
 今作はルフィの物語というよりも、ヒロインであり○○○○であるウタというキャラクターのための物語であり、彼女に対しての印象が良くも悪くも作品への印象と直結してしまうところがある感じ。
 『主人公の幼馴染』かつ、『主人公の師匠ポジの娘』が唐突に降って湧くことに嫌悪感を覚える層がいることは容易に想像がつくものの、歌姫として説得力のあるパワフルな歌唱力や、割と毒のある言葉選びと細やかな表情から伺える本音、彼女がああいう思考回路に至った経緯が丁寧に描かれたこともあり、個人的には非常に魅力的なキャラクターになったと思います。
 明るくてスタイルのいい美女だけど、物の捉え方といい私服の趣味といい、割と陰で根暗だよね…こういう真面目ゆえ歪まざるを得なかった女ってもともと好きな造形なのですが、私がワンピースという作品にさほど思い入れがないことで、彼女の存在自体を鷹揚に構えられたところは大きいかもしれません。
 中の人が二人体制のため、話し声と歌声の違いはありましたが、かすれた声で統一されていたこともあり、違和感はそんなにありませんでした。地声と歌声が全然違う人ってザラにいますしね。Adoありきで名塚佳織をキャスティングしたのだろうか。
 本編のキャラや技が大量に出てきたことに戸惑い、ファンでなければついていきにくい部分も多く、ヒット自体は納得なものの、国民的なレベルで大ヒットしたのは結構謎なのですが…知らないなりにキャラクターがどれもユニークで、ワンピースやっぱ凄え。特に、マンインザミラーみたいな能力持ったブラコン女性とか、ビジュアルどう見ても三枚目ポジションなのに、掛け合いから内気で常識的な面が見えて、なんか可愛くて良かったです。
 ということで本作評価してますが、映画構造そのものはあまり褒められた出来ではない印象。
 見所であったライブシーンは歌声も演出も素晴らしかったものの、これはあくまでウタの戦闘手段にすぎず、彼女のライブ中は大して話が進まないためストーリー進行のテンポを大きく削いでしまったなと。そのライブシーンも後半にかけて減少していき、前半面白いけど後半息切れみたいな感じ。
 また、ウタを掘り下げねばならない都合上、過去回想を多用しなければならず、それがテンポの悪さに拍車をかけてしまっているところはあったかもしれません。
 とはいえ十分楽しませてもらいました。名探偵コナンもそうですが、長期連載漫画原作の映画でこれだけ新しい試みを投入して話題をさらっていくのホント凄い。

 

アルマゲドン

 あまりに不快で耐えきれず序盤で視聴をやめた。フィルムレッドはヒットしたのも納得だったけれど、アルマゲドンは………これが…ヒットしたんだ……という感じです。以下嫌だったところ。
 
■主人公と娘
 コミュニケーション不全で父親のフォローに徹する必要があり、環境に抑圧されてきた娘が、父親にいまだに反抗しつつ完璧な秘書っぷり発揮してた基本設定が、父親に都合良すぎ。
 
■「この国で一番頭がいい」ことを発言の説得力の論拠にする科学者
 頭の良さにも単純に点数が取れるとかIQとかさまざまな基準があると思いますが、該当シーンにおける隕石への対応策を語る科学者枠って、特にその分野への専門的な知識に特化している必要があるわけで、「彼はその分野の第一人者だ」とかでも全然良いと思うんですけど。
 ただ「頭が良い」なの意味不明で、この謎基準を説得の材料にされることそのものが、国の要人の知性ゼロで、こんな世界は早く滅びたほうがいいと思う。
 
■セールスマンのおじちゃんのくだり
 夫と離婚調停を経て泥沼離婚してやっと生活が安定し出したシングルマザーが、いくら夫が命をかけた仕事を成し遂げるからといってこんな掌ドリルすることある!?
 キャラクターの意思というより、メタ部分の描写ではあり、家族に認められたい父親のロマンチズム溢れるストーリーを否定したいわけではないのですが…そのために母親のキャラクター性を完全に蔑ろにしているよー

 なんか、父性の哀愁を書きたいのはすごく伝わってくるんですけど、デリカシーの欠けた独りよがりな描写で嫌でした。クレヨンしんちゃん劇場版の方がよっぽど巧い。
 娘と寝ていた従業員を主人公が射殺しようとする最序盤は面白かったです。あと、主題歌格好良い。