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批評や分析ではなく個人の感想だよ

ウソゴクざっくり感想②(ユーリィ編)

ユーリィ編+つなぎの4〜8巻。

4巻
・ユーリィ編開幕。
・「もう悲しいウソはつくな。」…彼氏?
・「ルール違反だ!オレっち…そして、現世に生きる人間たちは…、『現実』というルールの中でウソをついて生きている!オマエの『ソレ』は、ある意味ウソを一番バカにした行動だ!」裏スポーツマンシップ回で定められた、ゴクオーくん→人間の視点を、あらためて強調。
・一方的なお仕置きシーンだった舌抜きフェーズで初めて引き分ける、大天使ウリエルインパクト!
・天子ちゃん攫って理想の天使に育てたいユーリィは、本当に気持ちが悪いな…
・現世のルールにこだわるゴクオーくんに乗っかるユーリィが、なんだかんだで真面目で律儀。
・皆見先生のビンタ、教員間で問題になってた!
・「3大ありえない」に最終的に険市先生が首を絞められるのは巧いところ。
・雨地くんの本音を聞きゲンコツ落として許す番崎くんのサッパリしたアニキ描写が、らしくてよかったです。
・跳び箱回を踏まえて雨地くんを励ます天子ちゃんと戸屋!スポーツ関連で目立ちやすいというのが大きいですが、戸屋はホントおいしいポジション。
・リヨちゃんと再会する天子ちゃんが、めずらしく少しお洒落していて可愛い。
・ウソの悪口でリヨちゃんとみぃちゃんをdisるゴクオーくんは、天子ちゃんに甘い。そして、『天子ちゃんを煽れば友達を守るために自分に反発してくるだろう』→『その後で自分の悪口が仲直りのためのウソだったと気づくだろう』まで読んでて、彼女の人格への信頼が見えます。おいしい。
・ユーリィの必殺技、岸辺露伴のスタンド。
・天子ちゃん誘拐の時間稼ぎとは言え、嘘暴きに天国サイドとして協力するユーリィ。やはり真面目。
・ゴクオーくんの部下が充実しているのと比較して、側近一名ペット一匹のユーリィ陣営がカツカツすぎる…。まあ、ユーリィは天国では管理職で、ゴクオーくんは一応地獄で一番偉い人だから…
・四大天使のユーリィが地獄王と同等の能力なので、多分勢力的には地獄より天国の方が全然上なんだろうな。
「天子ちゃんはただの人間だ!ウソだらけの世の中であの人間は生きぬく!これからも!それが…、小野天子の人生だ!」
・ゴクオーくん→天子ちゃんのスタンスは最後まで、一貫してこれだと思っています。
・時間経過とともに色めいた情動も含んでいく天子ちゃん的に、どうなんだという部分はあるんですが、最大限の敬意に裏打ちされ、人ならざるものが人に抱く感情として、美しいと思う。
・ゴクオーくんと同等の能力を持つユーリィが物語に降りることで、これまで作中最強生命体だったゴクオーくんの「八百小の生徒として」「地獄王として」両面の在り方に初めてヒビが入り、初長編気合が入りまくっている。面白いなあ…

5巻
・追い詰められる藤堂さんを守るためにウソ暴きするユーリィが完全に主人公で、やはりヒロイン:藤堂さん、親友:大荒輪くん、で、スピンオフやろう!
・弱点を耳打ちしてくれる藤堂さんか゛わ゛い゛い゛。
・中底くんの足元に動物が集っていることを指摘するノンコ(動物好き)が、これまた細かいキャラ描写。
・間が悪くただ平穏に生きるために日常の業務を嫌々ながらもキチンとこなしていた中底くんが、その後ろ向きな性分は変わらないままに、淡々と磨巾くんに手を差し伸べるのが、良かったです。
・指切りで誕生日回行く約束!
・激務ゴクオーくんを現世に行かせようとするバトラーは、この時点で既にかなり天子ちゃんに肩入れ。
・「一生を終えた魂たちなんだ。それをほっぽり出して1人の人間の誕生日を優先させられっかよ!オレっちは初代閻魔大王地獄王だぜ?仕事を続けるぞ。」格好良いな…
・何この『私と仕事どっちが大事なの!?』状態。天子ちゃんはそんなこと言いませんが。
・「思い上がるな人間」
・「今きみはおそらく…、短い、あっという間だ…。そう思ったろ?何千年何万年と生きるゴクオーにとって『人間』もそれと同じなのさ!」「しょせん人間と閻魔大王。流れる時間や価値観が違うんだよ。」
・最後まで小野天子を悩ませ続ける『生きる世界の違い』『いずれ来る別離』という課題が明確に。今までも要素として出てきてはいたのですが、はっきりしたのはこの21話お誕生日回。
・落ち込んでいる天子ちゃんをそれとなく励ますご家族があたたかく、彼女がこの家で育った説得力があります。
・「ハッピーバースデ〜!天子ちゃん。」
・汗でびしょびしょの腕まくりバトラーがセクシー。
・「わたしの誕生日なんてたった1日で…。何万年も生きてるゴクオーくんにとっては一瞬で…、どうでもいいものなのかって思っちゃって…。」「だから大事なんじゃねーかよ!」
「いいか!?人間はせーぜー百年生きられっか生きられねーか!だけどその間にスゲーオモシレーウソをつく!オレっちはぶっちゃけ一瞬たりともアンタら人間を、見のがしたくねーんだよ!」
・人間を下等な存在として見ているユーリィが対比として機能し、ゴクオーくんの基本スタンスである"人間の営みに対する敬意"が感じ取れ、痛快なシーン。
・そして、やはりこの人、地獄王は"果たさねばならぬ責務"で、小学生なりきり人間観察&舌抜きは"趣味(というか生きがい)"なんだろうな………
・初めて読んだ時、『コロコロという媒体で人間と人外の絆という要素にここまで踏み込むのか!』と衝撃を受け、ここからウソゴクにのめりこむことになりますが、今改めて読んでも傑作回。個人的な序盤の白眉はここ。
・寝入ったゴクオーくんに布団をかける天子ちゃんが、甲斐甲斐しくてかわいい。
・仕事忙しいことが傍目からもわかり、ゴクオーくんが心配で心配で仕方ないけど、何も言わずウソをつく彼を慮り、踏み込むことができない天子ちゃんにモダモダします。そしてこれが今後の爆弾になるという…
・梶野に感謝されてあぼーんするゴクオーくんは珍しい顔。
・快盗ジョーカーとゴクオーくんお互いに「フン…おもしれー男」してるな。

6巻
・グンショーの背中の文字は「自己欺瞞
・「…運動会のときゴクオーくんは…、落として汚れたわたしのおにぎりを顔色ひとつ変えずにおいしかったって食べてくれた…。その気持ちがうれしかったから…、今度はわたしが盛ちゃんに…、盛ちゃんに…!」ゴクオーくんからもらったウソを他の人にお返ししていく天子ちゃんが、相変わらず格好良い。
・男女平等悪漢べー。
・北星くんは顔がいいし性格もいいな…
・チチジさんとタメイキさんが一緒にご飯を!
・自分の授業ブッチして5年2組監視してるユーリィ、引きます。部下にも突っ込まれてるし。
・「ゴクオーくんは明日になったら来るから!だいじょうぶだよ!」「自分が一番さみしいくせに…。」大人びているゆめちゃん。
・「ウソツキだけど!ゴクオーくんはそれだけじゃない!ゴクオーくんは…、今日だって…、いつも…いつも…!」21話お誕生日回の激務ゴクオーくんが、天子ちゃんの中の影になっているのがうかがえるシーン。
・「気が変わった。」格好良い。
・「似ていた…。わたしが初めてゴクオーくんに助けてもらったときと…、やっぱり2人は…、似てる!」
・ゴクオーくんの背景を知っている天子ちゃんが彼の尊厳を守るために踏ん張る泥臭さ!そして、彼女の涙に心を動かされたユリ太郎の表情の変化が劇的で、25話良作。ユーリィが絡むと面白さがグッと底上げされます。
・「おや〜、そうか。これはうっかりしてたな…。天子くんを助けるついでにゴクオーも助けてしまっていたとは…ね。」1話ラストのゴクオーくんと同じ構図なのが、また巧い。
・偽サンタが虎丸くんに500円玉を渡した瞬間にブチギレるゴクオーくん(子供を騙すヘタなウソが沸点になっている)が格好良い。ウソゴク読んでると『格好良さ』のツボの近さを感じることが多いです。
・「天子ちゃんは信じてるんだっけ?サンタっ!」「うん!もちろん!だって、閻魔さまも天使さまもいるんだもん!」それはそう。
・江里戸くんに庇われた田ノ上くんは、何故頬を赤らめますか。
・江里戸くん視点の田ノ上くんが5割増しでイケメンに描かれており、なんなのだこの2人は。
・ガクくんはこの後に控えている個人回が印象深いのですが、この時は融通きかない頑固者という印象。

7巻
・天子ちゃんの肩を掴むゴクオーくんから余裕のなさが出ていて、珍しい表情。
・その余裕のない状況でもふでばこ遠ざけるために初手で破くのではなく距離を取る方法を取ってて、偉い。
・「今までだってそうだよ!ゴクオーくんは、大事なことはわたしになんにも話してくれなくて!いつもそれがくやしくって!」
・ブラック労働環境で体を酷使するゴクオーくんを心配しつつ何もできないことへの不満が、誕生日会を起点とし溜まっていたわけですが、それがゴクオーくんへの不満というよりも"自分へのくやしさ"として出力されたのは、天子ちゃんらしいところ。
・天使化初見時ビックリしたなあ…
・「らしくなかったな。ゴクオー。あせってまんまとボクのウソにひっかかるとは…。よっぽど天子くんが大切だったか。それとも…、五百年前の…。」
・10大地獄長揃い踏みと4大天使初登場。ミカエルとゴクオーくんの間に顔見知りのような言葉が入る(サタン繋がりで面識あり)のが、細かい。この時点でサタン登場の予定も立ててたのか。
・「それに天使にさえなってしまえば…、キミは何万年も生きられる…!」「……。」ここに天子ちゃんが一番揺さぶられるのが苦しい。
・仲間をタテにしたことに一番怒るミカエルは、絶対いい人だ…マイペースな4大天使取りまとめ役の常識人枠で、天国版バトラーという感じ。
・「忘れたくない!忘れられたくない!」は今後の天子ちゃん→ゴクオー君にもいえること。
・「大天使を育てるとか…、世の中を救うとか…、ホントは…どうでもよかったんだ…。ボクはやさしい人間をやさしいままでいさせてあげたかったんだ。」「ボクはこの数千年。何人もの善人が悪人に変えられていくのを見てきたんだ…!かわいそうじゃないか。」「人間の不幸に対し…、天使もキセキもまったくたりてない!なにが天使だ…!なにがキセキだ…!クソッタレだよ!」
・この地球上の人類から天子ちゃんの善性を見つけ出したの、天使なんでもありなのを差し引いても、かなり…ムリがあるなと…思うんですが…、目をつけたきっかけ、ゴクオーくんが天子ちゃんと絡み始めたことなのでは疑惑が、自分の中であります。
・「…人間はどんな困難も乗り越えられる…、とでも言いたいのか。もろくめでたい考えだ。その考えが正しいというなら、キセキの必要はないということになる。じゃあボクたちはなんのため…。」「キセキで番崎くんを助けてくれてありがとう。」「いっぱいキセキをくれて、ありがとう。」「たのむ…。負けないでくれェ…!」
・ユーリィは性善説が背骨にあり、人の美しい心を慈しみ守ろうとする、根本は善のキャラクターなのですが、歪みのきっかけは、『人の強さを信じられなかった』ことっぽい。
・基本的に人間をキセキで守らねばならぬ下等な存在だととらえていて、誕生日回の「思いあがるなよ人間」という言葉もそのためだと思われます。そして真面目すぎるがゆえに、人を救うために極端な方向に振り切れてしまった。
・『キセキ』をユーリィは人を救うよすがのようなものとして扱っているのですが、人間にとっては"ふとしたきっかけ"や、"縁"のようなもので、それを得てどう生きていくかは、その人次第。
・小野天子は今後も悪意立ち込める人の世をしぶとく生きていくわけですが、キセキというきっかけや縁に感謝しながら、強くあろうとする。そして、その彼女の生きる姿そのものが、ユーリィの救いになるという、泥臭い、ゆえに美しい着地。
・ユーリィの言葉を背負って生きるの…天子ちゃんがよくできたお嬢さんだからいいんですけど、プレッシャーが凄い。
・ゴクオーくんの対比として良い見せ場も多く、ラストバトルも物理的な実力自体は最後までゴクオーくんと競り合い、最後に明かされた本音も劇的で、いやはや、ユーリィはよくできたライバルキャラクターです。
・こわしたふでばこを手縫いで修理するゴクオーくん(手がボロボロ)があざとい。多分裁縫は不得意。
・自分がいた記憶を八百小に残すことを願うユーリィは、ゴクオーくんと天子ちゃん以外の人ともコミュニティを形成していたこともうかがえ、凄く好きな部分。それを補強する大荒輪くんの号泣が良くて、児童会とかもっとクローズアップしてくれてもよかったのですが、媒体的にも難しいかな。だから、スピンオフをですね…(まだ言う)
・ガクくんが気に入るゴクオーくん、君は本当に人間の好みがわかりやすいな!
・となりの席の人のいいところを書き合うゴクオーくんと天子ちゃんに照れがなく、この二人はこういうところが好感持てます。
・鉄谷くんメイン回のサブキャラとして出てきた背花さんの部屋のポスターが、ちゃんと宝塚だ!

8巻
・ユーリィ編終了~サタン編開始の箸休め巻。
・野球回の戸屋格好良すぎて、滅茶苦茶モテそう。
・バントするゴクオーくんの作画がキュート。
・「出るって…おまえ野球やったことあるのかよ!」「あるよ。お父さんと…!」天子ちゃんのウソは格好良いなあ…。
・33‐34話野球前後編、天子ちゃんが格好良く、クラスメイト一人一人も魅力的で、それを守ろうとするゴクオーくんの立ち回りも渋くて、夏のにおいがする良作。
・一度本音を出した脳取くんのさらに汚い本音もきっちり暴いていくゴクオーくんに、ドS疑惑が高まります。
・ぐうたらするゴクオーくんを起こす天子ちゃん。…夫婦?
・壁心先生、クビになれ。
・壁心先生の本音を暴いたときに、思春期の頃掴み取れなかった青春が浮かび上がってくるのが、この年になって読むとなかなか残酷。
・改めて読み返してやっと気づいたのですが、この巻すべて5年2組の友情がメインになってるのか。