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批評や分析ではなく個人の感想だよ

ムーンライト伝説

 以前から気になっていたので、ファンタジックチルドレンを13話まで視聴。
 ボーイミーツガールや冒険活劇を想像していたところ、ホラー要素強めのミステリー&ミラクルロマンスだったので、平手打ちを喰らった気分ですが、導入の謎部分が明かされ、やっとエンジンがあたたまってきました。
 周りに世話を焼いてもらい礼も言わないヒロインに若干のイラがあるし、専門用語が頻出するのに意味は全く明かされないし、かなり辛い序盤だったのですが、各キャラクターのさりげない表情や言葉が、そのキャラクターとしてきちっと一貫しているのは感じ取れ、好ましかったところ。1話の、パルザが母親に泣き縋りそれを見て瞳が揺らぐべフォールのこどもたちとか、今思うと沁みます。
 あと、絵が良かったのは大きい。キャラデザの方向性は好みでしたし、動・静のシーン共になめらかに動き表現も豊かで、観ているだけで楽しいです。
 
 現時点の全体の印象としては、ヘルガやトーマ(彼も転生しているっぽい)の背景がまだまだ明かされないためか、1〜13話時点ではべフォールのこどもたちに共感しやすいつくりになってるなというのは感じます。
 理性的なリーダー格だが使命と家族の間で揺らぐアギ、クールだが脆さも垣間見える副リーダー格のソレト、最も使命への意識が強いドライなヒースマ、穏和で繊細なハスモダイ、つっけんどんだが友達思いのタルラント、と、こどもたちの性格やチーム内ポジションは丹念に描き分けられており、同じ志のもと故郷を旅立ったはずが、ここにきて価値観の相違によるすれちがいが出てきているのは、面白いところ。
 王宮が危険とはいえ、ティナ転生計画独断で決行したこどもたちへの倫理観にドン引きした(国王怒るの当たり前)のですが、転生後地球生活を経て妹との別離がこの世への執着となってしまったアギが、自身と境遇の近いキルヒナーの死を経たことで、『転生で自分を殺し続けてきた』ことに気づいたのは、彼らのもともとの異質な価値観を示し、かつそこから変化しつつあるのも感じ取れ、よかったところ。
 アギは現時点でも結構お気に入りキャラなのですが、これは子守唄のシーンが良かったのが大きい。妹の足に土埃が付いているところとか、去っていく兄を裸足で追いかけてきたことが察せられて、細かいですが泣けます。あと、歌が本当に良くて、名曲。
 キルヒナーにあてた「魂があればその思いは永遠に無くならない!その思いは必ず妹を幸せへと導くんだ!」は、アギ自身がそう思わなければもうやっていけないんじゃないかな、とは。
 アギは妹と再会させてほしいと思うのですが、どうなることやら。
 トーマが今後どういう道を進むのか、一番分かりません。