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批評や分析ではなく個人の感想だよ

夢島Switch版クリアした

オリジナル版→神トラ→神トラ2→本作 の順で遊びました


・グラフィック
夢島の最大の特徴というのが、ゼルダにストーリー性を確立した勧善懲悪ではないお話だと思ってて(社長が訊くでも取り上げられてたねhttps://www.nintendo.co.jp/ds/interview/bkij/vol2/index2.html
これを成立させる上ではリンクが島の安寧を脅やかすものであることに説得力が生じなければ台無しなので、「プレイヤーが愛着を持てる島をつくれるか」というところが個人的な軸でした。
そこを踏まえた上でのジオラマ化という選択、天才!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!リンクやマリンを始めとする人や動物たちの声、しぐさ、表情がみずみずしい。物語的に重要なところなのですが、敵までもがかわいらしいのは大変良かったです。コホリントという箱庭で一人一人がたしかに生活しているのだというのを感じ取ることができました。あと、これはオリジナル版からですが、他作品キャラクターを取り入れた混沌とした雰囲気とメタ発言連発のユニークなテキストなどもオモチャのような世界観の成立に一役かっていて、箱庭作りの完成度の高さを実感。
加えて、OPにアニメーションを取り入れたことで、夢→ジオラマ、現実→アニメーションと演出を分けたことも、EDの現実回帰をより印象的なものに仕上げておりグッド。
ジオラマではなくあえてアニメーションで描かれているマリンの笑顔のカットは、
「この島の思い出は現実として心に残る そして…キミはいつかこの島を思い出すだろう」ということなのでしょう。
消えてしまったとしても、それを覚えている人の記憶こそが現実であり、だからこそ、リンクの記憶のマリンはジオラマ(夢)ではなくアニメーション(現実)なのですよね。その笑顔を横切っていくカモメは言わずもがな。美しいエンディング

・神トラの続編として
私、本家夢島→本家神トラってよくないプレイしてて、そこから今作遊んで、初めてまともな順番で楽しんだんですけど、なぜ夢島が神トラの続編として設置されているかというと、夢島の現実回帰の物語に説得力を持たせるためだったのかな、と。もちろん前作ありきだとシステムが確立しやすいというゲーム的な利点が主なのでしょうが。
かぜのさかな」の目覚めなくば勇者は島の土となる、という作中指摘があり、リンクには居心地のいい島で一生を過ごす選択肢もあったのでしょうが、愛すべき島(前述したように強い説得力をもって演出されている)をリンクがあえて消す選択をする、というのは神トラが平和を取り戻し地に足をついて生きていく物語だったからこそかなと思いました。神トラでトライフォースに元どおりの世界を願ったリンクと夢島でかぜのさかなを起こしたリンクは確かに同じ人。
世界を取り戻す物語から取り戻した世界に還る物語へ、という冒険の更新が、リンクの人となりの力強さを感じられました。秀作