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批評や分析ではなく個人の感想だよ

『バテン・カイトス』プレイ日記4

空中山脈〜世界各地の異変まで。

 

〜空中山脈編〜
■ラリクシ先生の元に行き過去の話を聞く。20年前、アザー出身のゲオルグとラリクシはその優秀さから帝都に招かれ、マグナスの秘密を解き明かす研究をしていた。
■今作におけるマグナスとは物質の本質をコード化し記憶して、必要に応じ記号から元々の物質を再構成するというもの。生命体のマグナス化のみ未だ不可能な禁断の技であったが、ゲオルグはそれを実現してしまった。……生きた昆虫のマグナスとかありましたけど。生命体って人間のみを指すんかい。
■ジャコモ、エイメ、フォロンは火炎洞窟のエンドマグナスを利用し、ゲオルグによって強化された最初の実験体。そしてカラスは、物質のマグナスに手を加えることで、人為的に生み出された生命体だった!しかし人間的すぎて不完全な失敗作であり、こころのつばさが片翼なのもそのため。
■完全な生命体「神の子」を生み出すことで不老不死を実現したいゲルドブレイムの命により、さらに研究が進められ、ついに生まれたのがフィー。まさかフィーがこんな重要ポジションだったとは。そしてカラスはどこまでも忌み子。
■なお、占い師より、カラスにマグナスが感じられないと指摘があったのは、人為的に作られたことで普通の人間のマグナスとはつくりが異なることが関係しているそう。
■ゲオルグ特別な子であるフィーを見て母性に覚醒し12年前ラリクシと共に帝都脱出を計画。
■「マグナスから生命を生み出すことを可能とした……。だが、そのことにどんな意味がある?新たな……、より深い絶望と悲しみの扉を、開いただけではないか?」とゲオルグどの口が言いますか。


■証拠隠蔽手段滅茶苦茶物理で草。自分達死んだとごまかす点で都合いいからでしょうけど。
■子供二人連れて亡命するゲオルグとラリクシが、なんかボーイズラブじみている。
■ラリクシとゲオルグが密談をしているところに当時20代前半のジャコモ(老け顔)が乱入し、できそこないの方明日始末するんでと報告。
「俺は、親父やあんたとは、違う。あんた達の研究のおかげで、人を超えた力を手に入れたんだ。それに、第一こいつを始めたのは、あんた達だ。何をいまさら……。実験は続ける。俺がかならず、続けさせてやるからな!俺は、この計画が俺達になにを見せてくれるのか……俺達をどこへ連れて行ってくれるのか……、こころの底から楽しみでしょうがないよ……!」
ジャコモ、凄くいい敵キャラクターだなあ。
■ゲオルグってフィーの存在で愛情に目覚めたことをラリクシから指摘されているあたり、彼の息子であるジャコモは愛のある家庭で育てられたとは考えづらく。また、国民のほとんどが選民思想をもつ帝国内で、異国出身の彼が将軍にまで成り上がれた点から考えるに、ジャコモの合理的さ、成果主義は、その生育歴に由来するものなのかなと思います。
■そんな想像できるハードな生い立ちに対して、悲壮感を一切滲ませず、持てるカードを利用し、自らも実験体となるリスクを背負いながら、従属する帝国に最大限貢献しているところが格好良い。また、上記のセリフは冷淡ですが、父親に対する情念とか、所業への嫌味のような、湿度を含むニュアンスもしっかり感じ取れるのが、キャラクターを立体的に見せています。
■私は、生まれ持った身分や立場に対して背負わされる役目を(それを正義か悪かは問わず)黙々と果たそうとするキャラクターが凄く好きなので、ジャコモ好きですね。作った子供に入れ込んで、それまで熱心にやってきた研究放棄しようとする父親のこと、ありえねぇ〜ってなるのもわかる。
■で、過去にカラスをスカウトしたことを思い出すわけですが。こういう父親のもと育った男がさあ、父親に大切に育てられた少年に対して、私的な感情は挟まず器でかい立ち回りできるの、超立派だよ。
■あと、力を求めてリスキーな手段を取った点において、カラスとジャコモは同じだったのですね。もう兄弟みたいなもんだよ(カラスは嫌がると思います!)
■ゲオルグ&ラリクシの帝国脱出計画はうまく進んだものの、爆発のショックからカラスは記憶を失い、フィーは当時3歳なので帝国でのことはほとんど覚えていなかった。その後ラリクシのみミラを出、以降はゲオルグ達と連絡も取り合っていなかったため、物語当初カラスがラリクシと会ったのは完璧に偶然!あのタイミングで体いじられたのかと疑っていましたが、冤罪です。すみませんでした。
■カラスの名前をつけたのはゲルドブレイム皇帝。不完全体でありいまわしい片羽の鳥が由来になっている。カラスは記憶を失った後もその名だけはかたくなに忘れようとせず…この二人にもそんなエモーショナルな因縁が。
■利用するためだけに誕生させられたカラスは、利用価値もないとその存在を抹消されようとしていたことが判明し、かなり落ち込む彼を仲間が励まし。理由も聞かずにそばにいてくれる人たちがいることそのものが、カラスの救いになっているんだなあ。
■空中山脈の山小屋にゲオルグがカラスのために残した遺産があるので取りに行くことに。山小屋はラリクシとゲオルグが一緒に建てたもので、なんかやっぱこの二人謎のBL感あるな。丸太小屋コピペ。
■山小屋に着くと帝国トリオ登場。生きていた。よかった。ジャコモによると、ゲオルグはモノと話ができる特異体質だったらしく、研究の際もマグナス改良に役立っていたそう。ゲオルグの母親が火炎洞窟の邪神の力に無意識に触れたのだと推察。
■「当時のゲオルグは、いざ研究のこととなると、人が変わったようになったよ。まるで何かにとりつかれたように、すべてを犠牲にして……。今思うと、実際のところあれは、心の中のなにかにせきたてられ、必死になって研究を進めていたのかもな……。」母の胎内から引き継いだエンドマグナスの影響でゲオルグは狂気に走り、フィーの神の子の力がそれを相殺することで正気に戻ったということでしょうか。この"犠牲"は息子であったジャコモにもかかってくる言葉だと思います。年月たち、あくまで冷静な観点から父親の狂気の理由を分析しているのがきつい。
■2年前ゲオルグ達が生きていることを知った皇帝は、研究のことは忘れて抹殺を命じ、それがゲオルグ襲撃に繋がってくることに。
■なお、ジャコモ個人としてはゲオルグ生きたままとらえて帝都に連れ帰り、新しい研究させたかったそうで。やはり上昇志向強く合理的な男。
■超毒音波によりカラスから精霊の声を遮断するが、プレイヤー視点ではあまり意味は感じずそのまま戦闘に。相変わらず、帝国トリオのモーションがダルすぎる。以前戦った時と基本の動き変化ないし、ただただ長丁場になって苦痛。
■戦闘は勝ったもののイベントシーンで敗北し、倒れ込むカラスの脳内で、フィーの命が果てる際の記憶が呼び起こされる。致命傷を受けていたカラスが生き残れたのは、フィーがカラスに命を与えたからだった。
■かくしてカラスはフィーの命を受け継いだ神の子となり、生命のマグナスの残された鍵として、ジャコモはカラスを追っていた。しかしそれももう意味はなく、フィーの物語は終わったと、父親の遺品であるカラスの飛翔機を破壊するジャコモ。


■ここもジャコモというキャラクターの奥行きを感じさせてくれて、とてもいい台詞。ゲオルグ襲撃シーンの回想が、“火の海の中ゲオルグが後ずさり画面から消える→ジャコモが手を伸ばす→ジャコモ悔しそう”、という内容だったため、ゲオルグ生きてると思ってたのですが、あれは火の中に自ら飛び込んだのか。オルグの勝ち逃げじゃん。
■皇帝死んだ現在、ジャコモがカラスを追う必要は本来ないものの、父親の遺した負の遺産であり、亡き皇帝の望みである「カラスの死」を通して、全てを終わらせることがジャコモの目的だったとわかります。ジャコモのような上昇志向強め・成果主義・合理的な男が、勝っても得るもののない戦いに挑むのか。彼を突き動かしていたものは何なのか。
■今思うと、ゴルドバ船爆散して状況全く掴めず、自身の不在期間中に皇帝が死に、歯牙にもかけなかった小娘に自国乗っ取られていたジャコモが、ホント哀れです。
■絶体絶命な状況下、飾られていた女神像が割れ、そこにあったのはゲオルグが作ってくれた飛翔機。そして、回想。
■片羽を近所の子供達から揶揄われるカラスを、翼ない方が進化してる種なのかもよとゲオルグが励まし、励まし方が理系すぎる。違う、どうして片っぽだけなのか、と問いただすカラスに、こころの翼の仕組みをぶつぶつと話し………ゲオルグコミュニケーションへたくそすぎる。
■「いいじゃないか、つばさがかたっぽしかなくたって。カラス兄ちゃんは、カラス兄ちゃんなんだから」フィーの方がよっぽど良い説得できてるよ!
■ぐずぐず言うカラスに、ゲオルグはつばさをつくることを約束し、いずれ戦いに巻き込まれた時用にカラスの力となる真の翼も残すことも決意する。「それが、わしがお前にしてやれる、せめてもの贖罪だ……。許せ、カラス……」
絶対研究エンジョイ勢だったくせに、母性に覚醒したことで、帝国に砂かけまくってるゲオルグやっぱどうなんだ感は個人的にあります。まあ、研究エンジョイしてたのはエンドマグナスの影響からくる本能的なものはあると思うので、仕方ないけど。というかジャコモはそうやって、父親を割り切って見ながら生きてきたんだろうな。
■こころのつばさとは人の心を反映し形作られるもの。生まれを祝福されず、悪口みたいな名前をつけられ、近所の子供に片羽をディスられ、家族も失い、力を求めて暴走もした、踏んだり蹴ったり人生のカラスだが、今は自分を必要としてくれる人がいるし、爺ちゃんからもらった翼と、フィーのくれた命だって、本当はずっとそばにあった。今まで経てきた人生の酸いも甘いも全て、カラスが自己のあるがままを受け入れることができた時、真の翼が覚醒する!
「ジャコモ……、フィーの物語は、終わったと言ったな。終わらせない……、まだ終わらせないぞ!オレが生きているかぎり、フィーの物語は終わらせはしない!!」
海とクジラの夢を叶えることなく、フィーが生涯を終えたことに、フィーの命によってカラスが生かされていることが重なったうえでの帰結が、“終わらせない”のが格好良い。
■カラス序盤〜中盤にかけて厨二病が止まらず色々迷走ありましたが、終盤に入っての主人公ムーヴは素直に燃えます。
■毒電波をうちやぶり帝国トリオ戦ふたたび。最悪。戦闘システム自体はユニークだし、それを成立させる上で一戦に時間がかかるのまでは理解できるものの、まったく同じボス戦(しかもモーションがトロくてやたら時間がかかる)2回連続して強要してくるの、ユーザー配慮が全くできてません。デッキの食べ物の一部腐っちゃったよ。
■例えば、一戦目負けイベントっぽくして数ターンで終わらせた後に、二戦目通常ボス戦にするとか、その逆で一戦目通常ボス戦にして、イベントシーンで敗北から強化して勝利を一気にやるとか、絶対もっとやりようがありましたよね!?このゲーム遊んでて今のところ一番テンション落ちたのここです。ジャコモは本当に好きなのですけれど、ジャコモ戦は最悪。
■戦闘倍速システムもありますが、ジャコモはモーションすっとろいのにエイメフォロンが早くて防御間に合わないので、通常速度で遊ぶしかなく。リマスターにあたってこの機能実装しているゲーム多いけど、ただ雑に実装すればいいわけじゃないでしょ。
■倒れ込むジャコモの
「終わったか……、なにもかも……、すべて……」
は、直前カラスの「終わらせない」の対比でしょうか。カラスが終わらせないための戦いをしていたのに対し、ジャコモは終わらせるための戦いをしていたわけで、その時点でこれからを生きようとする意志を持つカラスが勝つのは明白でしたね。
■最期にジャコモがエイメとフォロンに気遣いを見せ、二人もジャコモに縋るのが、この人やっぱ愛され上司だったんだ。
■帝国もなくゲルドブレイムもないので残った連中に協力しろと部下二人に言い残し、ミローディアを止めることをカラスに伝え、ジャコモ死亡。


身分や国境や立場を超え、シェラによって全ての人に祈りはもたらされバテン・カイトスらしい凄く良いシーン。
■ジャコモの遺言はあるものの、すぐ掌返すのも変なので、カラス達にはつかずに去っていくエイメ&フォロンは、キャラクター性が保たれて好きなところ。
■二人ともアザー出身の孤児で、ゲルドブレイムにゲオルグ実験のモルモットとして金で買われたルーツがあるそう。二人は帝国に貢献したい感情ゼロだったと思いますが、ではなぜ職務に忠実だったのかと言うと、やはり上司がジャコモだったからだと思う。
「お前がどう思おうと知ったこっちゃないが、こっちは、あの爺に死んでもらって、せいせいしてるよ!」
実験体として利用されていたエイメ&フォロンの感情として当然だと思うし、“”“”“一応”“”“”善玉サイドの協力者ポジションのゲオルグに、綺麗事なしで突っ込んでくれたのもよかったです。カラスとフィーの優しい爺ちゃんも、息子までも研究材料にした帝国の狂った科学者も、どちらもゲオルグ
■………ゲオルグさあ、カラスとフィーにのみ義理を果たして、同じく人生狂わせちゃったジャコモ・エイメ・フォロンに一切気をかけなかったところが、ホントどうかと思います。
■この、〈正義と悪を分断しない〉〈敵対した者にも事情がある〉という価値観はかなり意識して描いていると感じ取れ、それは主人公が一度道を踏み外す立場であることも大きいのかなと。
■無茶しないでと声をかけるシェラにエイメがガッツポーズをし、なにこの格好良い別れ。
■報告のためにコレルリ様の元に強制で戻された。目の前にある山小屋のアイテム取らせてくれ~~~現状コル・ヒドラエは沈黙を保っているものの、バリア張られておりこちらから動きようなし。しかしコル・ヒドラエ出現と同時に世界各地でおかしなことがおきており、ラストダンジョン前に任意サブクエスト発生。拾えそうな要素拾ってからラスダン行こうと思います。


失言すぎる。

~世界各地の異変編~

〇シェラ編
■アヌエヌエ学長の書物から、なぜか氷の国の幻想宮に飛ぶ。そこはワズン王家にのみ伝わる太古の禁断の書が祀られていた。
■ダンジョンを進む中、シェラと彼女の母親の回想が挿入。氷の女王はとある使命を背負っており、世界が生まれ変わる時が来たら海を人に返さねばならない。シェラと母親の口ぶりからそれが純粋な幸福とは言い難く、どうも、海が手に入るとシェラが犠牲になりそうな雰囲気で、終盤になってヒロイン力をがつがつ上げていくシェラであった。
「たとえひとりぼっちでも、決して後には退かず、なにものもおそれずに、微笑みながら進んでいきなさい。その時には、海があなたと共にあるのだから……。私達の想いは、常にあなたと一緒に歩んでいるのだから………」
■強く・優しく・美しく、主人公力高いキャラクターとして描写されてきたシェラですが、今まで世界を救いたい理由にあった、自国の民の存在・他国の人々の存在・仲間の存在・恋愛感情は後からついてきたもので、そもそも立ち上がりは先人の意志と希望を継がねばならなかったから。
■巧かったのが、先代氷の女王であるシェラの母親との関係性をクローズアップしたところ。氷の女王として使命を果たさなければならない公の部分と、娘を犠牲にするくらいなら自分がという私の部分、この両面の間の揺らぎを直接見ているからこそ、重い責務を果たすうえでもシェラは歪まなかったのだとわかります。
■禁断の魔導書を開放し、いにしえの魔導士の試練を超えて、シェラ覚悟完了しエンド。カラスはミローディアを救えるのかが気になっていたのですが、加えてシェラを、“ただのシェラ”でいさせてあげることができるのかという要素も追加されてきた。


■任意サブクエストということで気を抜いていたんですが、初手から重いのをぶっこんできました。

〇ギバリ編
■ギバリの父親はレイドカーンの剣の師匠、ギバリ自身も王国の優秀な騎士だったものの、とある事情から辞めてしまったそう。あの性格で、目上の人に凄くちゃんと敬語が使えるのもそのせいか。


■これは本当にそう。
■「19の小僧に、これまでの自分の人生を語って聞かせるほど、俺はまだ老いぼれちゃいねえ。いまここにいる俺と、これから俺が何をやろうとしているか……それさえわかってりゃそれで十分じゃねえか?」
前しか見えない男・ギバリが貫かれ、格好良い。
■ナシラの民家の子供が化け物に襲われ熱が引かず、熱さましに効くペクサの海藻を取りに危険な大天河へとアナが飛び出し(男前)、レブリスが後から追いかけていってしまった。
「いや……、それでこそ、アナだ。」
と無鉄砲さをも肯定するギバリが、前向きさと自由を愛するギバリらしくてよかったです。
■大天河につくと、レブリスがアナについていけず座り込んでいた。彼はアナに好意をもっていることから何となくギバリに対抗心があるよう。ギバリとアナのやり取りは一貫してドライなので、レブリスの労力…
■レブリス、数年後アナから「あんたのことほっとくと心配だから…」と同情プロポーズされるやつだなこれは。
■今作のヘタレ三銃士、レブリス・リュード・クラムリ村長だと思っているのですが、3人とも真面目で一生懸命すぎることが世渡りの悪さにつながっていて、可愛くていいですね。また、そのヘタレ具合を過剰に演出しない(周りがその真面目さを茶化さない)のは好み。
■大天河奥地にてアナと再会したものの、天河があふれとても海藻が取れない。そこで……………………釣りだ!
■大天河の魚なら海藻をエサにしている魔物もいるという発想から、ギバリ&レブリスは丸太を竿にし、釣り大会開催。「これから俺が何をやろうとしているか…」とか言った後にやることがこれかよ!台無しだよ。
■ギバリとレブリスが小学生レベルの喧嘩をしたのち、結局大天河の主はレブリスが引きあて、ギバリ達がとどめを刺す協力プレイによってペクサの海藻無事取得。いがみ合っていた男たちはお互いを認め笑い合い、アナから冷たい視線を受けるのであった。
■このサブシナリオのギバリ、前半は本当に格好良かったのですが、後半で自ら株を下げまくっている。というか後半で一気に落とすために、前半丹念に上げていたとしか思えない。ムカカカカカッ!
■パーティみな何らかの隠し事がある面子で構成されていますが、ギバリは騎士団辞めた過去があったのみで、そこもあまり突っ込まれず、終盤まで成熟した陽性のキャラクター性が貫かれたのはよかったです。

〇サヴィナ編
■もともとサヴィナが所属していた狂狼部隊は、かつて武力をもって制圧したアザーの民を連れ、魔物から逃げていた。サヴィナ達が加勢に入り喜ぶ元同胞のアズダー。率直に言って、顔がやたら好みなので、登場にテンション上がります。
■かつての襲撃相手な上に今では足手まといでしかないアザーの民を、なぜ魔物から助けたか。サヴィナの問いに、世界がこんな状況だからこそ救える命だけは何とかしてやりたいと答えるアズダー。目的を見失った末に、自分の正直な気持ちを手探りで求めているのは、サヴィナも同じでありましょう。
■村から出て行け人殺し!ガールと、サヴィナが再開し、トラウマが抉り出されるサヴィナ。
■サヴィナは二年前のアザー掃討作戦後にゲオルグ襲撃に参加。アザー掃討作戦の際、誤って罪なき子供を殺害してしまい、その一件以降非戦闘員に銃を向けることができない自分を悟ったことから、帝国を抜けていた。アザーとゲオルグの件の時系列逆だと思っていました…。カラスとフィーを見逃したのは彼らが致命傷を受けていたからというのは建前で、あの時点でもう銃さえ向けることができなかった状態なのか。
■サヴィナは子供の頃から戦うことだけを叩き込まれ、アズダーとはその時からの幼馴染。戦うこと以外は知らない戦闘マシンである自分にアイデンティティがあったため、戦うことができなくなった際にどうしていいかわからなくなり、全てを捨てて逃げ出してきた。ハード。
■「待っていたのは、闘いだけじゃあるまい?おまえは、自分の死を待っていたんじゃないか?それまでずっと、自分の死に場所を探してたんだろ……?」
あくまで後ろ向きな戦いだったと、ギバリの問いが渋くて滅茶苦茶格好良く、ホント、この人のサブクエスト何だったんだろう…。
■砂漠の先のグールの巣を壊すためにアズダーが先に出てサヴィナ達が後から援護しながら、脱出ルートを確保することに。砂漠を進む上でエリア切り替えにあたり水が必要なため、ブランクマグナスに水をいくつか入れて砂漠を進んでいくのですが、ブランクマグナスの空きがなく、育てていたミルクとリンゴを手放しました。ショック。
■奥地に進むと、ファドロ将軍の色違いにアズダーがぼこぼこにされていた。その魔物は村出人殺発言をした少女の父親が火炎洞窟のエンドマグナスの力で異形化した姿だった!父親が異形化し、股間の目が高速開閉して、股間からビームも出す仕様になっていたとか、ホント絶望します。
■正体が判明した時点でサヴィナはもう手を出すことができず、娘に振りかぶる父親に割って入ったのが、アズダー。
「二年前は、すまないことをした……。許してくれ……。」
アズダーはサヴィナと同じ罪を抱えているため、これはサヴィナの言いたかったことの代弁でもあるのでしょう。アズダーは親子を想うからこそ、父を殺す為に少女を柔らかく説得し、それは少女にしっかりと届き、今度こそ討伐。
■異形化した父親に何度やられても手を出さなかったサヴィナ。少女も憎しみの過去を割り切れることはできないが、かつて死神と呼ばれたサヴィナの変化は感じ取り、その行動に対して「ありがとう」を伝え、サヴィナも「ありがとう」を返す、で、エンド。
■結構情報量多い過去編になりましたが、サヴィナの場合きちっとスポットライト当ててやらないと自分のこと全然喋らないから…
■戦闘マシンとして育った彼女がその生き方に疑念を持つきっかけとなったのはアザー掃討作戦だったものの、そこから人間性を獲得していったのは、旅路の中で心を許せる居場所に出会ったからでありましょう。
「ああ……、確かにな。お前達には、話しておきたかった……。聞いておいてもらいたかったんだろう。」
■サヴィナの場合、この旅路を終えた後どう生きていくのかが気になったり。

○リュード編
■ミラを移動中次元の狭間にて、破壊されたはずのゴルドバ船に入り込む一行。幽霊が蔓延る世界になっており、精神攻撃をしかけてくる。リュード限定で。(何で)
■帝国上官からは裏切って母国滅亡の一端を担った点を、兄姉からはリュードのみ愛されない兄弟間格差を、アルマードからは愛を受けていたのに助けられなかった後悔を、それぞれ突きつけられるリュード。


■直前サヴィナ編クリアしたのもあって、この台詞は実に熱い。
■国を裏切り、家族を捨て、愛してくれるものさえ見殺しにして、どう生きて行けば良いのかわからずふさぎこむリュードをアルマードが死へと誘うが、そこに本当のアルマードの声が聞こえて来る。
■「よい問い手というのは問いを発するときには、もうちゃんと自分の中で答えを見出しているもの……答えは、人から与えられるものではない……。そして、正しい問いを見つけること……正しい問い……ねえ、アルマード……、あなたは僕の……?」
アルマードはリュードに入れ込みすぎだし、兄姉はリュードに冷淡すぎるしで、アルマードはリュードの母親だと確信を持っているのですが。リュードは知らされてなかったのだろうか。「あなたは僕の……?」に続くのはその件についてだと思います。
■また、真アルマードの声が急に聞こえてきたのは、真アルマードの幽霊が妨害電波を出してきたとかではなく、アルマードとリュードが共に過ごした日々の中で、彼女から受けた教えが、ちゃんとリュードの中に息づいているからこそだと思います。だからこそ
「はじめから、答えはそこにあったんだ……」
になるという。リュードってくよくよ悩む一方で、実は単身で帝国裏切るくらい根っこでは自分を強く持っている人なので。ぱっと見の自信のなさは兄弟からのけものにされてきた自己肯定感の低さに由来するのかな。
■リュードの兄姉は高飛車で嫌な感じに演出されているものの、彼らの家庭に父母の姿が見えないあたり、あんなに若くして家督を継がなければならなかった気負いはありそう。尚且つ、父親の愛人とその子供が本家に入り込んで生活し、愛人の子供が国裏切ったせいで自分達の首も飛びそうになっているとか、状況最悪すぎる。兄姉の生死曖昧ですが、高確率で死んでそうだし、生きてても碌な人生送れてないだろうなと想像できて……うーん……
■幽霊の正体は精神寄生虫。リュードの罪の意識を食い物にしていた。カラスもサヴィナも罪の意識のあるキャラクターですが、ピンポイントでリュードを狙ってくるあたり、よっぽどこいつは落としやすそうと思われたんだろうな。
■パーティ屈指の苦労人体質リュードも無事過去に折り合いをつけ、覚悟完了してエンド。


○ミズチさま編


キの名前、どうにかならなかったのか。
■大カムロさまたちとキは未だ泥雲の下に残り、石の塔の奥へと行ってしまう。彼らの目的は、ミズチさまのために大昔の魔道士の輪を復活させることであった。
■石の塔地下に潜っていくことになり、相変わらず操作性はよくないものの、ゼルダの伝説みたいで楽しいダンジョン。
■地下では大カムロさまたちが古の魔道士と対面。魔道士が輪をもらう資格あるのかと大カムロさまたちをぼこぼこにし、横入りするミズチさまがヒーロー力高い。
■いじめられっ子のキがどうしていつもみたく自分が来るのを待たなかったのか、問うミズチさまに
「だって、ミズチは……もう一生懸命に頑張ってるじゃないか?」
ミズチさまのために自分ができることをしたかったキに、そんなこと気にすることはないといたわるミズチさま。
■「ミズチさま、みんなのぶんも頑張るね。」
「ううん、それじゃダメなんだよ、ミズチ……。」
ミズチさまと子供達が一緒に遊ぶときに、ミズチさまはあえて自分をさまづけで呼び、自分が集団のトップだと周囲に宣言することで、怪物達の狙いを自分に集中させ、周りを庇っていた。
「でもね、もうボクらのために、ミズチさまでなくたっていいんだよ。ボクらも、ミズチと一緒に戦うよ。そんなちからになれないかもしれないけど、それでも一生懸命やるよ。」
「優れた誰かがひとりで頑張るのでなく、誰もがみんな精一杯やらなきゃ。だからもう、きみは、ただのミズチでいいんだよ。」


■名前欄の遊びは彼女の母に叱られるギャグシーンでも用いられましたが、そこを踏み台に、素晴らしい演出。
■キたちは古の魔道士の力に対抗できず倒れてしまったものの、カラスたち仲間の存在があるから、ミズチはもう一人じゃないんだ!と思って戦闘に突入したら、


タイマンの神経衰弱。本当本当に本当に台無しです。このシーンこそ普通のバトルすべきだったのでは!?!?!?
■ストーリーとシステムの融合の面では最悪でしたが、ストーリーは不意打ちで良くて感動しました。
■ミズチさまが自分を「さま」づけで呼ぶのは幼さからではなく、能力高く生まれてしまったことから、周りを守って生きる責務を自分に課している、彼女の強さだったと判明。
■しかし「ミズチさま」という仮面を被ることにより、彼女の人間らしさを蔑ろにしていることにキはちゃんと気づいており、彼女をただのミズチでいさせてあげるために立ち上がるキが、彼が特別な力を持たない弱い子供であるが故に、逆にその精神性の強さをあぶり出しているのが素晴らしい。
■正義の味方を自称するだけあり、ヒーロー体質のミズチさまでありましたが、彼女を孤独なヒーローにさせないキが凄まじく格好良く、本当、あそこで神経衰弱がはじまらなければ…………
■無事星の輪を受け取り、さま付けが気持ち良くなってきている子供らしい側面もあり「ミズチさま」を周りに強要するミズチさまを、彼女の母が叱ってエンド。

■五人のサイドストーリーを巡りましたが、最終決戦までに精算すべきところが皆描写されており、ざっくりとした色分けとして、

過去の後悔担当:リュード・サヴィナ
生まれついての責務担当:シェラ・ミズチ

という感じでしょうか。ギバリはギャグ担当という感じでしたが、精神面において既に完成されているキャラクターである為、ここにきてあらためてスポットライトが当たる必要性が少なく、釣り大会になってしまった。
■ここで思ったのが、ミズチさまとシェラって結構近い境遇を背負ったキャラだということ。ミズチさまは"才能"、シェラは"身分"にかかる特別性を背負い、それにふさわしい自分であるために努力をしているキャラクターなわけです。
■ここで、ミズチさまの場合、周りの人が彼女の責務を一緒に背負おうとすることで、彼女を「ただのミズチ」でいさせたわけですが。シェラは今まさに「ただのシェラ」ではない道のりを歩もうとしているわけで。カラスはキのような男気を見せつけることができるのか。
■五つのエピソード中だと、ミズチさまのエピソードが非常に良かったです。みんなを助ける為にミズチさまであることを己に課す少女と、少女をミズチさまにさせないために立ち上がる少年。

■ラスボス戦前ということで、各地をあらためて巡りました。


■かわいい


■シェラの氷像ほめるカラスちょっとエッチだ。ついでにカラスのやつも作ってくれるそうなので、お願いして、戻ってできてたのがこれ。


おい。