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批評や分析ではなく個人の感想だよ

サクナヒメプレイした

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天穂のサクナヒメクリア。

プレイ時間は31時間、16年目で米の格は45

 

前評判聞いたときは、米作りがダルそうだなと思って見送っていたんですが、逆に米作りがリアルで面白いとの評判を聞き購入。

 

 

以下ネタバレ

 

システム・ビジュアル・音楽・ストーリーどれをとっても作り手のこだわりが貫かれているのが感じられました。

とにかく総合力が高い印象だったんですが、特にうまいと思ったのが、ゲームシステム。

ストーリーを進めるための戦闘パート・サクナを強くするための稲作パートとわかれており、どちらを蔑ろにもできない構造。これをプレイヤーの過剰なストレスにならない範囲で両立させるバランス感覚が巧みでした。

 

まず、多方面でそのリアリティが評価されていた本作の稲作について、リアリティの実際の良し悪しは私には判断できないのですが、たんぼに発生する虫や病といった問題を、どうやって解決していくか、プレイヤーに高い自由度で試行錯誤の余地が与えられているのが素晴らしい。

虫対策に塩大量に投入して畑ダメにする道は、みんな通るはず

田植えや精米などはかなり作業ゲーではあるんですが、プレイヤーにこれを作業と感じさせないよう、毎年技を覚えて成長することによって、今までの作業が少しずつ楽になっていく過程がもりこまれるのも、よかったです。

究極、面倒くさかったら田右衛門や河童に任せられますし。質は落ちるけど。

自由度の高さのためか、稲作難度が割と高かった!私は稲作が本当に下手で、肥料をひんぱんに作り忘れたり、毎年イネツトムシ大量発生させてたんですが(防虫マイナスにして益虫のクモ増やすといいと教えてもらったんだけど、クモが全然つかまんなかった)

どんなに失敗しても必ず昨年よりはステータスアップするので、米ダメにしちゃったことに萎えても、ちゃんと収穫までのモチベーションを保てました。

 

一方の戦闘パートは、難易度標準でプレイしてもわりとやさしめかなと思いました。

最初の頃は羽衣がちょっと扱いづらかったのですが、使い慣れると羽衣使用中の無敵時間が超便利。

これでも難しいと感じる人は、稲作や夕餉を使ったサクナ強化ゴリ押しでどうにかなるでしょうし。

口にするものや畑の実りがサクナの戦闘パートにおける強さに直結しているのは、稲作と戦闘を両立させるシステム面でうまいアプローチ。

 

この稲作ー戦闘の「稲作がサクナの強さにつながる」秀逸さはシステム面の両立性だけではなく、終盤の田植唄で語られる「生活の全てが田植えに直結している」今作のテーマを補強しているのが、すごく好きなところ。

 

田植え唄の作中の用い方の美しさに関しては、楽曲担当のおりこ氏が解説しているのでこちらをどうぞ。

 

天稲のサクナヒメ楽曲解説 第7回「ヤナト田植唄」https://perfectvanity.at.webry.info/202011/article_sakuna09.html 

 

キャラクターやストーリーの描写も、一部消化不良点あるものの、盛り上がりどころはおおむね外さず。

自堕落な箱入りのお姫様から、ヒノエ島で皆で過ごした日々を論拠に、守り手として神としての自我を得るサクナの成長の描かれ方が、ベタだけど丁寧でよかったです。

サクナの可愛さ、間抜けさ、格好良さを引き出し切った大空直美さんは、終始名演。素直に好きな主人公。

加えてムービーシーンのカメラワークが良かったのも、盛り上がりどころにおけるサクナの格好良さを印象付けるのに一役買ってました。

 

田右衛門は本当に懐が広く優しく気遣いのできるいい男で、石丸絡めたシナリオ上の扱いもよく、人間側ではわりとお気に入り。サクナが彼を名前で呼ぶところは一番好きなシーン。

人間が人として生きることをやめるエンドあまり好みではなくて、正体動物であるゆいはともかく、田右衛門が頂きの世に残るのはちょっとなあと思っていたのですが、

サクナがヒノエ島で人間と同じ囲炉裏を囲ってごはんを食べたり、神が死んだら人になることが示唆されてたり、頂の世と麓の世の情勢が比例していることに象徴されるように、今作における神と人は本質的には横並びのもので、分断されるものではないのかもなあと思いました。だからこそ、田植唄は「神も人も栄えよ」とうたっているのでは。

で、麓の世にて自分の無力さにままならなさを感じていた田右衛門が、豊穣神として麓の世に実りをもたらせつつ、穏やかに人生を生きるのは納得なのか。

ミルテは、神に対する視点の別角度の切り口であり、世界観を広げる存在として便利キャラでした。

田右衛門と早く結婚した方がいいんじゃないか!?と思っていたけれど、麓の世に戻ってしまった。当初の目的から揺らぐことはない、真っ直ぐな芯を持つ彼女らしい選択ではあるのですが。

お互いの夢を見つめるが故の前向きな離別といつかの再会への願い、完全にオシカプ。

でもこの2人、なんとなくこれっきりな気がします。エンディングのその後のテキストでも、再開は明言されなかったし。

きんたは薄暗い人生を送ってきたが故のスレたクソガキから、麓の世でやりたいことを見つけ男になっていく少年漫画のようなストレートな成長過程が気持ちよかった。

一方のゆいは大人しそうな風貌から、かいまるをビンタするバイオレンスさときんたのストーキング行為にすげービビったんですが、結の名の通り「社会性の獲得」がテーマにあるキャラなので、初期のこの描写は親元(きんた)を離れられない精神の未熟さだったのかな、と。

事情がわからないと完全にヤバい女子ですが

終盤きんたと違う道を選ぼうとすることで、自立しつつある自分の感情の変化に戸惑うゆいがかわいらしく、それでいいと優しく背中を押すサクナは、超かっこいい。

かいまるはラストの立ち位置が良かったのですが、喋るという脱皮に至るまでの過程がちょっと唐突だったのが気になった部分。

アシグモはビジュアルと声がツボだったんですが、扱いは空気だった。父母と縁故の仲で強者で絶滅しつつある種族の生き残りって設定、相当美味しいキャラだと思ったんですが、どうして。

そういえば、中毒米つくった犯人は明らかになりませんでしたが、これはココロワスピンオフを期待しても良いのか。

 

自然と神話の調和が美しく、隅々まで行き届き、生命力に溢れた力強いゲームでした。楽しかったです。遊んで良かった。

天返宮がまだ60階なのでもう少しやりこもう。