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批評や分析ではなく個人の感想だよ

ウソゴクざっくり感想④(ナナシノ編)

14巻〜16巻

14巻
・冬仕様でダッフルコートの天子ちゃんが新鮮。似合う。
・番崎くんと天子ちゃんは、総菜シェアで家族ぐるみの付き合いをしているのか。
・クラスのみんなからゴクオーくんが愛されていることを喜ぶ天子ちゃん…嫁?
・ウソがアイデンティティの捻くれ者なので、ゴクオーくんの良さって初見で気づきづらいのですが、それが一年の関わりの中で5年2組みんなにちゃんと伝わっていてくれるのが嬉しいのでしょう。天子ちゃんの立ち位置って、地獄版の宣教師みたいだな。
・あと、地獄王という裏の顔を持つゴクオーくんが、小学生としても居場所を作っていることが、うれしいのでは…というのも感じる。嫌な見方ですが。
・ハッピーバースデーが完全に不意打ちで、ゴクオーくんは『自分に向けられる好意』に疎いところがある。サタン編もそうだったわけだし。
・「お誕生日おめでとう!ゴクオーくん。」「…。わかったよ、まったく。オレっちのウソがホントにされちまうとはなァ」
・ゴクオーくんの口をつむいで、ウソをホントに変える天子ちゃんが、超格好良い。
・ゴクオーくんの誕生日は2月で決定。
・10年後に掘り起こすタイムカプセル!63話は5年2組の最終回だ。
・これまでサザエさん時空疑惑があったウソゴクにも卒業や進級の波が。
・「『真実』をめんどうくさがるなよ…、ウソがにげる。」地獄王、地雷がわかりやすすぎる…
・「現実は時に残酷だ…。だから、人は1人だけじゃないのだよ。」かつて、残酷な現実に負けてしまう人を憐れんでいたユーリィから、このセリフが出るのが感動。
・ユーリィも登場して長いですが、実力的に一切格落ちしないし、ゴクオーくんと慣れ合わない(相互利用というスタンスを崩していない)のが、素晴らしい。作者がキャラを大事にしてくれているのが、伝わってきます。
・「偶然か必然か、500年前おまえがのがした魂が…、この八百町に転生していることがわかった…!」「のがすな。」「わかってらぁ。」ゴクオーくんとユーリィのやりとりは、いちいち格好良い。
・「いいウソ、悪いウソ、楽しいウソ、やさしいウソ、この世の中にはいろいろなウソがあります。そんなウソが大好物な男の子が八百小学校にいるんです。その男の子の名前は…、ウソツキ!ゴクオーくん!」
・アニメ化したらOPの前にこの口上入れてほしい。
・初期案のボツキャラだった千十郎が登場。こうして見ると、別のジャンルの漫画の主人公っぽい。小林よしのり的な。
・「アンタら5の2だって同じだっただろ?最初はな…!」「同じだよ。ビビるな。ここにいるヤツらはアンタらと同じ年の…、ただの人間だ!」
・鼻つまんでピーマン食べてる千十郎かわいい。キッズ。
・「将来」の言葉にショックを受ける天子ちゃん。ゴクオーくんの存在が大きくなればなるほど、別離が重くのしかかります。
・将来の夢は保父さん(死語だ)のゴクオーくん、なぜそこで保父さん?ですが、わりと向いてそう。
・「走るぞ、天子ちゃん!止まるなよ。」心情を汲み取ったさりげない気配りができるのは、ゴクオーくんのカッコいいところ。

15巻
・「やだね。ボキはキミらとは仲良くするつもりはない!」「ボキはね、父さんの仕事の都合で転勤ばかりしているんだ。どうせ、この八百小にも少しの間しかいない。キミらと友だちになるのなんかめんどくさいんだよっ。
・「そのかわり、ボキはね!ボキの引っ越す先ざきで、ボキのスゴさを知らしめているんだよ!」自己掲示欲が凄い。刑事だけに…
・千十郎は転校が多かったからこそ、友だちとの別れや、自分を忘れられて、傷つくことを恐れている。『別離』や『忘却』への恐怖は、いうまでもなく、ウソゴクの裏テーマでもあります。
・「石豆くんの無実はボキがはらす!友だちは…、ボキが助ける!」かつて手紙で絆を失ってしまった千十郎が、彼の境遇を知った石豆くんの手紙を受け、父の言葉を背骨に、勇気をもって一歩を踏み出すのが、凄く良かったです。
・その主体性をくみ取って補佐する地獄王も、良い立ち回り。
・『一般人ぽい千十郎がなぜゴクオーくんの正体を知っているのか』で長編ストーリーを牽引するのは、今改めて読んでもフックの弱さを感じます。
・一久世くん小6にして趣味が暗躍&人間観察とか、歪んでるなあと思ったら、歪まざるを得なかった理由ひっくるめて本音にもってきて、巧い。
・犬探しと同時に結界はる地獄勢はなぜそんなまわりくどいことを…と思ったのですが、ゴクオーくんも、好きだから。ウソついて暗躍。
・ユーリィの学生服が白!
・別クラスになってもスポーツ強キャラとして君臨する戸屋が、どこまでもおいしい。
・拙井くん×箱入さんの相互罪悪感が、ゲストキャラとしては勿体無いくらい湿った感情。ご近所さんなので今後も遊んでほしいけど、箱入ママ→拙井くんの心象悪そうだな。好きなタイプの男女で、結構お気に入りの回です。
・千十郎と石豆くんは児童書の探偵ものみたいでかわいいねえ。なお、作者ツイッターによると、千十郎の転校により中学で一度別れ、大学で再開するとのこと。二人の大学生編は学生アリスシリーズ的な推理小説だ。きっと。
・石豆ママ妊娠。
・千十郎の「力が欲しい」、ラインハルト・フォン・ローエングラム!?。

16巻
・湯種くんといいガククンといい任世くんといい、理解できないタイプの人間にガンガンつっかかるゴクオーくんは、ヤクザです。
・千十郎のストッパーになる石豆くん、男の子版天子ちゃん感。
・「わたしはけっこうウソツキだよ。」「ゴクオーくんは、誤解されやすいけど、ウソが大好きなだけなの。」
・「ボキを応援してくれる人や、協力している人がいるのに…。あれだけきらっていたウソに負けそうになった!なんたる屈辱!おのれ…、おのれェ、負けてたまるか!」千十郎も相当強い人間。
・そういえばナナシノの話、天子ちゃんはサタンの口からうっすら聞いたのみで、ゴクオーくんの口から直接聞いたのは74話が初か。おしゃべりサタン。
・「このときのオレっちは、生きてる人間に興味はー…、ない。オレっち…、閻魔大王 地獄王は…、人間を愚か者としか思っていなかった。」
・500年前の時点で「バト公」から「バトラー」呼びになってる!
・「ナナシノ。オマエをそう呼ぶコトにしよう。オマエの仮の名だ!」
・あくまで利便性から名前をつけたことで、ナナシノにとってのゴクオーくんが『親』になる凶悪なシーン。過去ゴクオーくん本人は、これがナナシノにどういう影響を与えているのか、完全に無自覚なのが、またエグい。
・サタン、ナナシノにお風呂まで沸かしてもらっている。地獄王にケンカだけ売ってるプー太郎疑惑が浮上します。
・親のような存在であるゴクオーくんに「愚かだ」と言われた『人間』に生まれ変わることを、よりによってゴクオーくんから伝えられたナナシノが気の毒すぎて、過去ゴクオーくんの人でなし度が急上昇。転生伝達するゴクオーくんに表情が全然ないので、本人も多分ヤバイと思ってる。
・「ワタシを不確かな存在のまま生み…、ワタシを何年もさんざんほったらかし…、人間の愚かさを、絶望をさんざんワタシに見せつけておいて…、今さら人に生まれろだ?天国も地獄もかってなヤツばかりだ!もう、オマエたちには振り回されない!」「永遠に現世にい続けてやりますよ。ナナシノとしてね!」ええ、もう、正当すぎる怒りです。
・この後に及んで、ゴクオーくんから贈られた「ナナシノ」の名さえも手放すことが出来ないのが、ナナシノは辛いなあ。
・サタン編ではんこ持ったサタンにブチギレるゴクオーくん、部下に短期間で連続で裏切れた(と思い込んだ)ため、全然余裕がなかったことが判明。…人間より、裏切りまくる部下が愚かだと思ったほうが、いいのでは。
・この時期彼を補佐してたバトラーは、めちゃくちゃ八つ当たりを食らっていそう。
・「生きてる人間は、愚かではなくオモシレー!最初にそれをオレっちに教えてくれたのは、天子ちゃんだ。」愛ですね。これは。
・地獄王がたまたま降り立った場所で、天使が目をつけていた女の子が通学してて、地獄王を裏切った魂が宿る少年も通学している(全て偶然)八百小、ヤバすぎ。パワースポット。
・ここでサブキャラだった石豆くんが物語の中心に躍り出るとは、初見時全く予想しませんでした。
・ユーリィ編サタン編は倒すべき明確な敵が見えており、対象をウソでどう制すか試行錯誤するのがミソである『サスペンス』なのに対して、ナナシノ編は敵が誰なのか探る過程がミソになっている『ミステリー』なんですよね。
・ナナシノの正体の伏線は通常回に丁寧に撒かれており、石豆くんの舌抜き誤魔化し方法なんて、非常に凝ってて脱帽モノですが、手がかりのうち『ゴクオーの正体を千十郎に言い当てられた時石豆くんが隣にいる』『番崎祖父の情報、魂を2つもっている子供がいる』が読者視点ではまずわからないのが、釈然としなかった部分。
・ウソ暴きがフェアじゃないのは、今作よくあることだからいいんですが、前述したようにナナシノ編自体がミステリーモノのなので、その文脈にのっとりつつ謎自体はアンフェアなのは、"物語構造"と"描写"のチューニングがおかしい。
・で、気づいたんですが、今作のウソ暴きに私が感じていた面白さって、謎部分『ミステリー』じゃなくて、丸裸になる人間の心理『サスペンス』の方だったのかも。ここが泥臭い人間賛歌にも繋がってくるわけだし。
・「心も体も地獄王は、ワタシのモノになります。」丁寧語スパダリ攻めみたいなことを言い出すナナシノ。
・石豆くんの中に潜んでたナナシノが自我乗っ取ったりしてたら、友達になった千十郎が酷だなあと思ったので、イマジナリーフレンド扱いでよかった。
・天子ちゃんがゴクオーくんを膝枕している。…熟年夫婦?
・天子ちゃんの涙が頬に当たってパワー出すゴクオーくんラブラブすぎる、
・石豆くんへの親心に目覚めるナナシノ。ナナシノが乗り移ったのが、家族仲円満な石豆家で本当によかった。
・「ワタシのことをだまっているのなら、いつまでもいてやるぞ。」「…今ならわかる。なぜ…、あの日あんなことをタグルに言ったのか…。ぼくは…、ゴクオーさまとみんなと…、ずっと地獄にいたいだけだったんだ…!ゴクオーさまに、ぼくのウソを暴いて…、見つけてほしかった!迎えにきてほしかった…!」
・「オマエに名前をつけておいて、あんな扱いをしちまったコト…、すまなかった。」名付けの残酷さを自覚できるようになった地獄王に、成長を感じる。
・ナナシノ編で一番描きたかったことは、サタン編の諸々の所業もひっくるめた、ゴクオーくんの過去の清算だったのかな、とは。
・謝罪はゴクオーくんのしてきたことを鑑みて当然必要なシーンではありますが、ナナシノはゴクオーくんから得られなかった『愛』を、石豆家から代わりに貰い、既に救われているわけで、謝罪自体が劇的にならなかったのは、エンタメとして痛恨。
・物語として誠実ではありつつ、とにかく盛り上がりに欠けるのですが、ユーリィ編サタン編が少年漫画らしい長編だったために、感情のベクトルが内向きなナナシノ編はインパクト不足な印象がより強まってしまった部分はありそう。過去の清算が芯なので、敵も「自分自身」だったわけですし。
・まあ、過去の過ちの自覚や反省があるから前に進むことが出来るわけで。ナナシノ編自体は、次へのステップアップとして、絶対に必要だったとは思ってます。
・「小野天子でしょ?あの子はオモシロイよね。どんどんゴクオーさまの見たことがない一面を見せてくれるんだもん。」愛ですね。それは。
・過去回想のゴクオーくんは一度も笑っていない(あっても口元をゆるませる程度)のですが、ナナシノが見たことのない一面というのは、そういうことでしょう。
・石豆くんとナナシノのお別れに際してあいさつを促すゴクオーくんは、こういうとこホント律儀。
・「ごめんね、タグル。ありがとう、タグル。そして、タグルの周りにいてくれた人たち。ぼくは人間が、大好きになったよ。」
・ユーリィの「ー…長かったな」に、ゴクオーくんとの腐れ縁の関係性が圧縮されてて、好き。
・「名前は『喜生』っていうのよ。」「自分が生まれてきてよかったって。心からそう思える人生になるようにつけたのよ。」
・「わかんないけど…、ぼく…、絶対…、絶対いいお兄ちゃんになるよ…!よろしくね喜生!」
・ナナシノ編どうなんだ…感がずっとあったのですが、このオチは凄く良かったです。石豆家のやりとりから、初めて『愛』を知ったナナシノが、地獄で自分が本当に欲しかったことに気付き、代わりに『愛』を石豆くんに与えていく。兄のような存在だったナナシノから『愛』を受けた石豆くんは、今度は自分が実際に兄になって、ナナシノ…喜生に『愛』を与えていく。そうして魂は巡っていく。
・チチジさんの部屋着、パジャマではなくスウェット派。
・ブラコンすぎて目尻がふにゃふにゃになってる石豆くんかわいい。
・喜生くんに対して「まっ!オレっちはこの子の面倒ずっと見てきたからな!」とかほざく地獄王は、どの口が言いますか…
・帯の石豆くんと千十郎が、泣かせます。ズッ友。