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二次創作や感想中心です

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zonzS2 2週目感想

1話 NEO
■「初めてだ・・・俺が食いたいって思わないでいられる・・・人間」強烈なボーイミーツガール。
この一言で千翼の
・チームキスでの狩りにおいてのアマゾンへの異常な敵対心
・「俺をアマゾンと一緒にするな!」という過剰な否定
・水とゼリー食へのこだわり
・長瀬への「俺に触るな!」
などの事前に提示されていた要素が【人でありたいのに人に食人衝動を抱いてしまう自身への恐怖】に集約され、不明瞭だった彼の輪郭が見えてきます
■「あの子もアマゾンなの!?」「違う!あの子は人間だ!」
今後続いていく、イユは人間主張の始まり。2話でわかりますがこの時点ではまだ匂いで判断しているだけ。

2話 ORHANS
■体がバキバキのイユを止め、代わりに敵前に向かう千翼の独白、(俺も信じられるから。あれは、母さんを食ったのは俺じゃないって)
1話で提示された【人でありたいのに人に食人衝動を抱いてしまう自身への恐怖】ですが、それについて【母を食べたかもしれない疑心暗鬼が根底にあるから】という理由付けがここでなされます。
■千翼「イユを道具みたいに扱うな!人間として扱え!」「イユ、俺がお前の痛みになれたら」
一連の台詞、一見千翼がイユに献身的だし絵面も美しくロマンティックなのですが、千翼にとってイユが人間であってほしいのは
【初めて食人衝動を抱かなかった存在がイユ→イユが人間→人間であるイユに食人衝動を抱かない自分も人間→人間である自分は母さんを食べていない】
という思考からきており、彼のイユへの執着は自分が人間であることを証明すること、と、非常に自分本位です(彼はそのことに無自覚ですが)。
そこを踏まえると、千翼がチームキスに所属しアマゾン狩りをしていたのも、人間の組織に所属しアマゾンを狩ることが彼の人間証明の手段であったと推測できます。長瀬と喧嘩し素直に謝ったことからも、以前の千翼にはチームしか居場所がなかったことが伺えますし。
1話で見せた千翼の輪郭を2話で補強しキャラクターの強度を上げていく2話のつくりがロジカルかつ丁寧。

3話 PERSONAL NON GRATE
■前半、悠との記憶を反芻し彼に手を差し伸べるイユからあたたかな人間らしさが見え「イユは記憶を取り戻しかけてる」と喜ぶ千翼でしたが、後半千翼を容赦なく殺しにかかるイユを描写することで、橘さんが語った「イユは生きている時のことを覚えてるよ。だがそれだけだ。何の意味も持たないし何も感じない」という彼女の非人間らしさをつきつけてくる悪趣味な構成。
また、ゾウムシアマゾンが千翼に「悪いが二人分しかない。ほしけりゃ自分でとれ」とお仲間認定していること、生理的欲求で食人衝動を抱きイユの駆除対象になったことから、千翼の非人間らしさもむき出しになっています。
千翼の望みは【自分とイユは人間であってほしい】ですが、今後もこの望みは裏切られ続けることになります。
■血の海の中歌を歌っているイユというショッキングなEDから、次回予告遊園地で遊んでるのが面白すぎる。耳をほじくられる女性も含め、全体的にハードなアマゾンズS2の難所がこの3話かなと思ってて、ここで離れてしまう視聴者もいるのではないかなーと思います。製作側も視聴者のメンタルケア狙って次回予告に愉快な遊園地デートぶち込んだんだと思う。デートもデートで別ベクトルの辛さがあるんですが。

4話 QUO VADIS?
■ママの二の腕に包まれていたらイユにターゲット確認された悪夢にうなされた挙句、橘さんに食人衝動のことを指摘され「イユの反応が何よりの証拠だよ」と痛いところを突かれる千翼。
自身を人間たらしめてくれる存在のはずのイユに食人衝動を指摘されたことは、彼女に裏切られたも同然なので彼に多大なショックを与えます。
■遊園地デートでイユにかわいい服を着せたりアトラクションに乗ったりプリクラを撮ったりと、彼女に必死に【普通の女の子像】を押し付ける千翼ですが、そもそも千翼自体が【普通の男の子】ではないためいびつにから回ってしまいました。
その象徴が並んでゲロ。酷すぎ
■千翼の背中にパパを重ね手を握るイユ。初めて駆除や命令と関係ない場面でイユから千翼へのアクションがあった瞬間。
ここで手を握ったのは遊園地デートの千翼の頑張りは1ミリも関係ない偶然ですが、2話で千翼がイユに働きかけたことを起点に着々と記憶を反芻しているため、今回のデートも全くの無意味ではないのです。
■タンパク質切れになってへたりこんでしまうイユに千翼「やっぱり普通の食べ物じゃダメか・・・」その直後千翼も通りすがりの女性に食人衝動を抱いてしまう。
普通の食べ物じゃダメなのは千翼も同じで、どんなに人間ごっこをして取り繕おうとしても、結局二人は人じゃありません。
■「千翼。駆除しちゃいけない奴」「イユ、もう一回言って」「千翼、駆除しちゃいけない奴」
相手の認知に4話かけるジュブナイル恋愛ストーリーはアマゾンズシーズン2だけ

5話 RAMBILING ROSES
■「千翼、駆除しちゃいけない奴」にため息をつく千翼。
前回認知されたことに喜びましたが、結局黒崎が下した命令の上に成り立っている認知であり、それだけではあまりにも切ない。イユに対して欲が出ていることがわかります。
■恋人のバラアマゾンのために人肉を貢いでいた女性。これそのまま今回風船プードルや次話でケーキを貢ごうとしていた千翼にも重なります。

6話 SCHOOL DAYS
■イユが悠とパパと食事をした生前のことを知り笑顔で「楽しかった?」と問う千翼。死亡時のことを反芻し左目を抑えるイユを抱き「そんなこと思い出させなくてもいいだろ!」と怒る千翼。
彼女の傷つくことは避けたいと、はっきり同情的。
■(もとからああいう子ってことも・・・ないか。どんな子だったんだろ。イユ)「どんな子だった?生きてるとき、どんな風だった?」
イユという個に対し深い興味が出てきています。
■バラアマゾンに対してのモブ隊員「アマゾンが来るとは思いませんよ。頭が食べたけりゃ自分で調達するでしょ」
一般的に普通の人のアマゾンに対する認知は【人を喰う化け物でしかない】というのが垣間見える台詞。この後バラアマゾンは隊員の予想を裏切り、彼女への愛のために突入してくるわけですが、このようにアマゾンという生物が心のある生身の存在であることを人間が知った結果が、最終話4c前での銃撃戦だと思っています。
■バラアマゾンと彼女の会話「ごめんねえみり、俺のせいで」「だって私達結婚するんだよ。助け合わなきゃ。幸せになるんだから」「・・・ありがとう、ほんとに。俺もずっと思ってた。えみりと一緒にいたい。一番大事で、一番・・・・・・・・・・食べたかった」「そんな顔しないで。いいよ」
初見このあたりは割とふ~んくらいだったのですが、片方の元凶によって作り出された凄惨な現状、助け合い、一緒にいたい、女のことが欲しい男、女の死を抱え生きるために敵前で足掻く男、と、わかりやすく今後の千翼とイユの暗示。シーズン2は恋愛がメインテーマですので、千翼とイユはもちろん撮影舞台や敵アマゾンなどにもセクシャルな要素が見られます。
■イユに手を上げるオメガを止める千翼「やめろ・・・」手に血管ビシビシでネオ素体の伏線「俺達はまだ何も始めてない・・・!」
今素体になりかけたときと始めて素体になったとき(9話)で共通してるのが、どちらも「イユと一緒にいたい」という気持ちが千翼にあることです。素体となることは彼自身の人間性を否定することとなるため押さえ込んできましたが(だから彼はベルトを用いて変身する)自分の人間性を証明するためのイユを守るため人間性を否定する素体に(無意識ですが)なりかけることで、彼の彼女に対する自分本位なスタンスに矛盾が生まれ始めています。これは今話で千翼が長瀬からイユの過去を聞いたことで、自分を取り戻したイユの姿が千翼の中で具体的になったことが大きいのではないかと思います。

7話 THE THIRD DEGREE
■千翼「女子の好きそうな遊ぶとこってないですか?」照れた千翼が初心でかわいらしく、ニコニコする美月。その一方で悠の「千翼には気をつけたほうがいい」という言葉がよぎる。
美月もお姉さんのような形で千翼の等身大の姿に触れています。
■千翼「お前が行きたいところ父さんのとこじゃないだろ?」
死亡という非人間的かつイユを苦しめる記憶に向き合って欲しくない千翼のエゴ。
■イユから行きたい場所を聞きだし連れて行き彼女とチームを組むまでに至った長瀬の人間力
また、イユの「懐かしかった場所」という言葉にぐっと唇を噛んだ表情だったり、駆除に利用されているイユの現状だったりを同情する描写から、長瀬も彼女に対する情が芽生え始めます。
■加納「もちろん彼女は痛みは感じませんが、感じないままに先ほどの衝撃を受け続けることになります。」千翼「やめろ・・・」「あなた次第です。あなたがここに来るまでのこと、知っていること、覚えていること、全て話してください。そして命令には絶対に服従すること。わかりますね。」それを呑む千翼。
【彼のイユへの執着は自分が人間であることを証明すること、と、非常に自分本位】というのは2話で明かされたとおりですが、他人に絶対に明かしたくなかった千翼の出自は自分の人間性を否定するものであり、その秘密とイユを天秤にかけた際イユを選んだことから、彼にとって彼女は自分の人間証明より優先されるべき存在となっているのがわかります。つまり、千翼にとって今のイユは人間性を証明する手段などではなく、純粋に彼女そのものが大事な存在と化してきていることは明白です。このシーンのために6話で千翼の矛盾の起こりが挿入されているのだと思います。

8話 UNDER WRAPS
■アマゾンから女性を守り手を差し伸べる仁さんだが女性には拒絶され逃げられてしまい、人間のヒーローになりきれない。一方悠はマモルから仁さんを殺さなかったことを攻められ、悠もアマゾンのヒーローになりきれない。
二人はどこまでも対比です。
■生前イユ可愛すぎるねん・・・悠がイユの死を望むのも生前の彼女の姿を知っていることと、イユパパが彼女に向ける暖かい視線をしっているからこそ。
■悠「千翼を逃したこと、後悔してるんですか」イユパパ「私には出来なかった。後悔はするだろう。それでも、人でいたいと思ってしまうよ」
このイユパパの語る【人】というのは同話において仁が悠に言った台詞「すぐ目の前のものに絆される・・・お前の癖だな。俺よりも人間臭い」からきていると思っています。アマゾンである千翼を野放しにするのは何かしらの被害が生まれるリスクもあり(実際生まれているわけですし)、論理的な行動とは言えませんでした。しかし現状害悪と断定できない無力な赤子を殺していいのかと問われると頷きづらい。そういう、かわいそうだとか、親が子供に手をかけるのはあんまりだとか、目の前のものに絆される優しさ、甘っちょろさ、情が、イユパパの言った人であることであり、この気持ちをイユパパが大事にしたのは、彼が親で、大事に想う家族がいたから。

そして今作におけるこの人らしさの象徴的な存在が長瀬。その対比である黒崎さんはとても論理的に行動しているのですが、おそらく、作中極端に人らしさを排除しようとしているのは仁さんだなと。そんな仁さんの作中唯一の感情的動機の行動が浴びる必要のなかったトラロックを浴びたことであり(子作りは正気じゃなかったんでノーカンとします)その後遺症もあって溶原生細胞が生まれてしまったのは本当不幸の星の元に生きてるんでしょうね

9話 VANISHING WINGS
■イユとデートし、イユの要求に答え、チームを組んだ長瀬のコミュ力に困惑する千翼。黒崎「盛りのついたガキが。父親より女かよ」ごもっとも。
3話で悠に反応するイユを見ても、イユが自分をとりもどそうとしていると解釈し嬉しそうですらあった千翼ですが、イユに変化をもたらした長瀬に嫉妬するという、千翼のイユに対しての執着が生まれていることを示すストレートな描写。仁の出現というド修羅場にこういうシーンを挿入するのが、すごくアマゾンズシーズン2。
■4cから追い出される長瀬。
ちょっと酷な言い方ですが、ここで追い出されてネオ素体の殺戮現場に立ち会わなかったからこそ、長瀬は最後まで千翼を人間と同等に扱い肩入れできたところとあるのかもしれないなと思います。人生はタイミング。
■(イユ、ほんとに、これで・・・俺達はまだ、俺達はまだ何も始めてない。イユ、俺)『俺が・・・お前の痛みになれたら』(俺、今、初めて、)千翼を見上げるイユ(お前が、欲しいと・・・!)
自分の人間証明のためにイユの人間証明をするという、自分本位感情丸出しの動機でイユにまとわりつき始めた千翼が、アマゾンであることを橘さんに言い当てられ、人間証明も何も必要としなくなった瞬間に、イユがすきだ、ということを発露させました。(彼のすきは性欲とかよりももっとプリミティブな『一緒にいたい』というものですが)
それまで細やかに彼の気持ちの変化は書かれていましたが、それが言葉による表出という形ではっきりしたのはここだと思っています。直前に長瀬へ嫉妬を向けたことも好意の発露を補強しています。
また、何故あえて「欲しい」という言い方をしたのかというと、普通一番に愛着が芽生えるべき存在である母親の七羽さんに対し、食べたいという感情が常時あったせいで、好きという感情そのものを食欲と解釈しているのか、もしくは彼は幼児なので好きという感情が解釈できなかったのか、おそらくは両方だと思います。次話で千翼はこの【欲しい】を『イユまで食べたいと思ってしまった』と解釈し、絶望してシクシク泣いていますが、死体を食べたいと思うはずないのでありえません。実際最後まで千翼がイユを目の前にして食べたいと思う描写は全くありません。
■好意の発露と同時にアマゾンネオ素体による殺戮で、千翼の心理的にも状況的にもターニングポイントとなっています。
アマゾンネオはメカっぽいデザインなのですが、それもこれもこの生物的かつ凶悪なネオ素体のギャップでインパクトを与えるためだったのだと思われます。また、ここのネオ素体を踏まえアマゾンネオをよく見ると全身を血管が走るブルーの素体をメタルの装甲が覆い隠す形になっており、暴走を抑えるためのドライバーというふうにデザイン面も工夫がめぐらされています。
■千翼の『俺は楽しかった』という言葉を反芻しやがて星が降るを歌うイユ。
生前のことではなく千翼の言葉そのものに対し反応しており、凍結直前の千翼を見上げたことなどもそうなのですが、彼女の中でも大きな変化が起こっています。

10話 WAY TO NOWHERE
■長瀬「イユが千翼を?そんなの、ダメだろ」
それまでのイユの過去を探る千翼の献身的な態度を見てきたことや、イユのチームを組んだ発言に動揺する千翼を察し、イユを「おい」と黙らせるシーンがあったことから、長瀬は千翼のイユへの心情を把握しており、【大事な人に殺されることなんて辛いことあってはならない】という至極人間らしい心理を抱くなど、長瀬は人間と同等の存在として千翼とイユを扱います。ああ、これ書きながら合点がいったのですが、千翼と長瀬がチームだったことも、長瀬が生前のイユを知っており死亡後デートをしたことも、長瀬に二人に対しての情をもたせ尊重させるためだったのか。まいた要素がしっかりとつながる様はやはりロジカル
■女性の腕を見る千翼「そうだ、俺は、もう我慢しなくていいんだ」イユ「ターゲット確認」
皮肉にも自暴自棄になり食人を犯しそうになった千翼をおしとどめたのが敵に回ったイユ。【母親を食ったと思いたくない】という考えから食人を拒否してきた千翼ですが、橘さんの指摘から母食いは認めざるを得なくなってしまいました。そんな目的を見失った状況下でも食人を拒否したのは、イユがいるから。もし千翼が自分の意思で人を食ってしまったら、今後イユに顔向けなんて出来なくなってしまうと思います。
■仁と千翼の対峙「あんな、お前の母さんが送ってやれって言ってんだ」「母さんが?」「お前が人でなくなったら」千翼に殴りかかるアルファだったが凍結の際自分を見上げてくれたイユの姿を思い出すとアルファのこぶしを受け止める千翼。「でも俺は・・・生きたい!生きたいんだ!」
母を食べたこと、人を無差別に殺してしまったこと、4cとイユが敵にまわったこと、父母に殺意をもたれていること、この絶望が重なった状況下でも千翼が生きたいと思えるのも、イユと一緒に生きたいからです。回想で彼女がカットインされたことが物語っています。

11話 XING THE RUBICON
■イユにプリクラを見せる長瀬「お前楽しかったとこ行きたがってたよな。これは?千翼と一緒でさ、楽しかったんじゃねえの?千翼だってそうだよ。俺達と一緒にいるときこんな顔したことねえし。だからさ」「イユ!千翼の駆除なんてやめろよ!見てられねえんだよ!イユ!」
実際の二人との交流を論拠に語る長瀬。黒崎さんが「ガキ」と指摘したとおりリスクや状況をかえりみれていない子供の思考であり、対比として提示される「千翼はな、次は必ず人間を食う。俺はそっちの方が見てられねえがなぁ」の方がずっとまともな見方ですが、情から千翼とイユの肩を持つ言葉を振りかざせる長瀬の存在がなければ、今作はもっと救いようのない作品となっていたはずです。
■長瀬と千翼の会話「お前が人間をアマゾンに」「そうなんだと思う。全部俺のせいなんだ。イユがアマゾンになったのも、ケンタとタクがあんなことになったのも、全部・・・それでも、俺は腹が減るし、生きたいって思ってる。イユと、もっと一緒にいたいって」「千翼・・・」
長瀬は友達の復讐の思いを抱え続けてきたわけですが、対峙した黒幕は無自覚に罪をおかしてしまうことに苦悩するあまりにも弱いもので、長瀬は千翼を攻めることが出来ません。それどころか突然乱入しネオを殺そうとするアルファの脳天に弾丸をブチ込み、千翼を逃がします。ここでの「お前千翼の親父なんだろ!?親が子供殺すのかよ!」も実に長瀬裕樹。
■千翼を殺しにきたイユとの対峙「イユ、お前が俺を殺すって言うなら、俺はお前と、戦うよ!だって俺は、生きたい!お前と一緒に!だから戦う」
デート回でターゲット確認してくるイユと戦わず、「お前になら・・・」と殺されることを許容した以前の千翼からのわかりやすい変化。それもこれもイユが自分本位な感情なしの【一緒に生きたい女の子】として本当の意味で大事な存在と化したからこそです。
■『イユ、俺が、お前の痛みになれたら』という千翼の言葉を反芻し左目を押さえ歌を口ずさんだイユが、アルファをぶちのめしかつて千翼がイユにそうしてくれたように千翼の頬を包む。「千翼、痛い?」
初めてイユが命令を無視し千翼に寄り添ったシーンであり、4cの人たちに散々「イユは何も感じない」と忠告されながらも彼女にはたらきかけ続けてきた千翼の努力がやっと実を結んだ瞬間です。よかったね

12話 YELLOW BRICK ROAD
■モブ隊員「なんで逃げたんだろう、イユ、自分の意思なんかないはずなのに」「少しは感情がもどったとか」「だとしたらちょっとかわいそうかな」
6話のバラアマゾンに対してのモブ隊員の「アマゾンが来るとは思いませんよ。頭が食べたけりゃ自分で調達するでしょ」では普通の人はアマゾンに対し人食いの化け物程度の認識しかありませんでしたが、ずっと一緒に戦ってきたイユに変化が見られたことで、隊員達にもアマゾンに対する認知の変化が生まれています。
■悠「仁さん。あのとき二人を助けておいてこんなころいうのは勝手ですけど、僕は二人を」
S1最終話を経た悠の芯は変わっていないのですが、その芯を貫き通すために立ち位置を変えられるのが彼の強いところです。一方仁も芯を貫こうといているのは悠と同じですが、罪を抱えているから立ち位置を変えることができずボロボロになってしまいました。余談ですが、やはり最後ノ審判で罪を抱えた悠も仁と同じくボロボロになってしまうのかな。
■アマゾンの出現でイユの元に向かおうとする千翼だが、やられる赤松隊員を見て葛藤しながらもアマゾンと戦うことを選ぶ。
ここ以前の千翼だったらイユのところにダッシュしていたと思いますが、長瀬への「全部俺のせい」という贖罪の言葉からもうこれ以上人が死んでしまうことそのものを避けたいのかもしれないと思いました。そんな彼の気持ちに反しからだは生きてるだけでクソ害悪生物兵器なのですが。
■千翼「イユ、きっと元に戻るよ。友達がいて、父さんと母さんと、お姉ちゃんもいるって言ってたっけ。その頃のイユに。絶対、また笑える。」―――千翼「イユ、どうしたんだよ!」イユ「パパを食べたのはわたし!痛かったのはわたし!」「お前・・・」「パパが食べたのはわたし!痛かったのはわたし!パパが食べたのはわたし!痛かったのはわたし!パパが食べたのはわたし!痛かったのはわたし!・・・・死んだのは」「やめろ!!」「なんでだよ・・・なんでなんだー!」
二人の関係の本格的な始動の台詞であり11話12話でも回想として複数挿入された「イユ、お前の痛みになれたら。」のアンサー。死の痛みは当事者のイユだけのものであり、その痛みに苦しむイユを見ても、千翼は何もすることが出来ない。また、千翼が【普通に生きて欲しい】と願っていたイユが感情を取り戻した際に最初に感じたのは【死の痛み】という凶悪な仕込み。死んだ記憶がある限りイユは絶対に生きている普通の女の子になれないし、それは全ての元凶であり害悪である千翼も同じです。「なんで、俺達は生きてちゃ駄目なんだ!なんで・・・」

13話 AMAZONZ
■4cに撃たれ倒れこむ千翼に近づくイユ、そこで撃たれてしまったイユを千翼が庇うと、皆の引き金を引く指が止まる。黒崎「撃て!」。誰も撃てない。
イユを人間と同等に扱った隊員や、抱き合う千翼とイユに引き金を引けなかった美月、という助走があったからこそ、ここにたどり着きました。この痛ましく優しい光景を見て、二人のことを【アマゾンだから殺してもいい】と割り切ることは難しいでしょう。黒崎さんだけは撃とうとするけど。
■イユ「千翼、痛い?」千翼「痛いよ。でもイユはこんなになっても・・・」
お互いが満身創痍でも手を差し伸べあい守りあい傷に触れ合う千翼とイユ。「お前の痛みになれたら」に対して「痛かったのはわたし!」で突きつけられた【痛みは個人のもので成り代わることはできない】という絶望に対し、【痛みは成り代わることはできないが、他者を思いやることでいたわりあうことは出来る】という救済が用意されていました。
■令華様「美月!悠も撃つつもりならやめなさい。あなたは知らないわ、悠がどれだけ優秀な」美月「お母さん!自分の手でアマゾン殺したことある?私は悠とちゃんと向き合うために4cに入った。この銃はそのためにあるの」
生死を脅かしあうことで同じ土俵に立ったからこそ、生死に意見が出来る。だから美月はこの後「生きて」と言える。非戦闘隊員で銃を握ることがなかった札森がイユ殺害のトリガーとなったことも、ここが絡んでいるのかもしれないなと思います
■千翼「イユ、今笑ってる。笑ってるよ!」―――イユをおぶさりやがて星が降るを歌う千翼。それを穏やかな表情で聞いているイユ。「千翼。わたし、楽しい」「うん」

過去の思い出の反芻で「楽しい」と呟いていたイユが現状に対して初めて楽しいという感情を抱いた瞬間。

イユの一度目の死は彼女を殺したパパの歌うやがて星が降るを聴き【痛い】と感じながらでしたが、二度目の死は彼女を守った千翼の歌うやがて星が降るを聴き【楽しい】と感じながらという形に。千翼は幸福な形でイユの死をぬりかえることが出来ました。
■黒崎と札森「お前、死にたくねえって思ったことあんだろ」「当然、毎日ですよ」「生きたいって思ったことあるか?」「え、おんなじでしょ」
千翼とイユを肯定する長瀬の対比としてさんざん彼らを否定した黒崎さんが二人の立場や気持ちを慮っていることがわかる台詞。「俺はイユをこき使ってやってんだよ。父親をあんなにしたアマゾンを、ぶっ殺すためになあ」「千翼はな、次は必ず人間を食う。俺はそっちの方が見てらんねえがな」「あんまりいい趣味じゃねえな、あのおっさん」「本当に言えますかね。自分が食われても」「アマゾンなんか使うべきじゃなかったんだよ。最初から」など事前に撒かれた言葉のピースが、ここでの会話と銃を置き去るカットによってひとつに纏まり、黒崎さんの善性が示されます。千翼の願いと人間的な情で動く長瀬を論理的に否定する立場にいたことや、やさぐれた部分でカモフラージュされていましたが、根は普通の人。
■「終わったよ。あとは、これだけ」美月の手をとり圧裂弾を自分の胸にあてがう悠だったが、美月はその手を払う「生きて」
【殺す】という意思でつながっていたS2の水澤兄妹が【生かす】という形で更新を果たしました。
美月がここで「生きて」に落ち着いたのは、悠が人間の敵ではないと判断したほか、千翼とイユの生きたいのに生きてはならない生き様を見たからというのも大きいと思います。実際彼女は二人を殺す手を止めてしまいましたし。

死んでいった者のため生きている者が出来るのは、ちゃんと生きることです。
千翼が、一緒に生きたかったはずのイユが死んでもなお「俺は最後まで生きるよ」に落ち着いたのも同様の理由からだと思われます。
■仁「俺は連れて行かないとか、きついのも相変わらずだなあ。七羽さ~ん」
七羽さんの『最後に我侭聞いてもらった』、から、千翼が人でなくなったら殺せというのは、本当に彼女の意思だったということがわかります。それを果たさせるために七羽さんは仁さんを生かしたと思われますが、千翼を殺してもなお彼が生きるのは、千翼と七羽さんを殺したからこそのけじめ。最後まで一匹残らずアマゾンを殺そうともがいていくことになります。
ああ、そういえばこうして見ると、イユも美月も七羽もそれぞれの男を生かしてるの構図になるのか!!!(千翼の「イユと生きたい」やイユが死んでからの「俺は生きるよ」、美月の『生きて』)凄い。きれいな構成だなあ
■携帯の裏に千翼とイユのプリクラを貼り、学校に行く長瀬。
生きたいと足掻いた末死んでいったふたりの生き様を見た長瀬も、ちゃんを生きることを選びます。

 

 

血しぶきや内臓などの見た目のバイオレンスさも辛いのですが、それ以上に精神的に抉ってくるのが今作です。そういった欝要素は目立つし印象に残るので、そこばかりが取り沙汰されますが、物語の核にあるのは男の子と女の子の性欲にも満たぬ素朴なラブストーリーで、だからこそアマゾンズseason2が好きです。
今回メインライターを勤めた小林靖子さんですが、同属殺しをする龍騎のテーマが正義だったこと、お笑い要素の高い電王が真摯なヒーロー作品だったこと、一見正統派ヒーローなオーズがアンチヒーロー的作品だったことから、テーマについて真逆の地点からアプローチしていくのが得意なのかなと思います。(戦隊やメタルヒーローの氏は微塵も知りませんし白倉Pなどの意向もあると思うので予想の範疇を出ませんが)それを踏まえていくと、美しい部分を際立たせるために酷い部分はとことん酷くしたのかなと思われます。ラストシーンは美しかったですし、千翼のテンション毎話ジェットコースターだったし。

 


最後千翼とイユは死んでしまいましたが、

白本:でもさ、周りから「死んだじゃん」とか言われると、ちょっとムカつかない? 「いや、死んでないから!」って。『アマゾンズ』は死ぬとかじゃなくて、私たちの中では生きてるもん。そんな感覚だから、「死んだじゃん」って言われると「死んでないから!」って思っちゃう。
【出典】https://news.mynavi.jp/article/20180512-amazons/

本当に白本さんの言うとおりだと思います。
作中、会長の「加納君でさえ死んでから新たな始まりをもたらす。終わらせようとしてすでに始めているのだ」という台詞がありましたが、千翼とイユが死んだ後の登場人物たちの行動(銃を置く黒崎、悠に生きてと伝える美月、学校に行く長瀬、アマゾンを殺し続ける仁)というのは千翼とイユの生き様がそれぞれの心に生きており、それが彼らに新たな始まりをもたらしたからこそ。
続編の最後ノ審判に千翼とイユは出ていませんが美月、仁の審判でのアクションはシーズン2を確かに踏まえています。黒崎は・・・わからん・・・三浦さんが『4cを去ると思います』とおっしゃってたし、そのほうが納得できるのですが、何で残ってるんだろう。やっぱり駆除することがアマゾンに対する彼なりの誠意なのですかね。


千翼とイユの心の動きを自分なりに整理することを目的に再視聴したのですが、物語や関係性の構図が綺麗なのが感じられ、やはり美しい作品だなと思います。

空の軌跡FCSCevoクリアした

感想です

長文感想は面倒臭いという気持ちと、他の方の文章読んで満足しちゃうのとで、好きな作品でも書こうと思い立つものは少ないのですが、今作は語りたくなるような作品でしたし、周りの方の感想もあまり見ず(10年以上前の作品だしね)わかるする場所がなかったので。後で自分が見返す用に書いておきます。

当然のようにネタバレなので、注意してくださいね。

 

 

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